急性腹症の治療
急性腹症の治療は、主に疾患に応じた治療がおこなわれますが、緊急度や重症度に応じて対応が異なります。
緊急手術が必要になる場合は、全ての検査結果を待たずに治療に移行することもあります。
緊急手術が必要になる場合
緊急性の高い疾患が疑われ、早急に治療をしなければ命を落とす危険性がある場合は、緊急手術や血管内治療の適応になります。検査をおこなった医療機関で治療できる設備が整っていない場合は、迅速に専門施設へ転送することもあります。
対象となるのは主に以下の疾患が疑われる場合で、それぞれの疾患に適応される緊急手術をおこないます。
超緊急対応 緊急対応
疾
患
心筋梗塞
腹部大動脈瘤破裂
肺動脈塞栓症
大動脈解離
肝細胞癌破裂
異所性妊娠
腸管虚血
急性胆管炎
敗血症性ショック
内臓動脈瘤破裂
対
応
血液検査の結果がでる前や、CT検査をおこなう前に治療することが多い。
血液検査やCT検査の結果がでてから治療することもある。
緊急手術が必要でない場合
緊急手術が必要にならない場合は、重症度に合わせて時期に応じた手術や点滴治療、血管内治療、内視鏡治療などがおこなわれます。
循環血液量が不十分である場合は、リンゲル液などによる点滴治療が早急に施行されます。
どの疾患にも鎮痛剤を投与するケースが多く、アセトアミノフェンやモルヒネ、ペンタゾシンなどが使用されます。
低アルブミン血症がある場合はアルブミン製剤、貧血が強い場合は輸血、感染症が疑われる場合は抗菌薬の投与をおこないます。
点滴治療は主に手足の静脈からおこないますが、改善が難しい場合は上大静脈や下大静脈、脛骨の骨髄から投与することもあります。
急性腹症になりやすい人・予防の方法
急性腹症の疾患が起こりやすい年代や性別差はさまざまです。
腸閉塞、急性胆管炎、急性胆嚢炎、尿管結石、急性虫垂炎、消化性潰瘍穿孔などは女性の急性腹症で起こりやすい疾患としても挙げられています。
急性腹症を完全に予防するのは難しいですが、健康的な生活習慣を維持することが大切です。バランスの取れた食事や適度な運動、十分な水分摂取は、消化器系の健康維持に効果的です。食物繊維を摂取して便秘を予防することで、腸閉塞のリスクを下げられたり、多量のアルコールや喫煙を控えることで、心筋梗塞や急性膵炎などの予防につながります。
特に高齢者や基礎疾患がある人は、内臓の異常を早期に発見するために定期的な健康診断を受けましょう。
基礎疾患がある人は適切な治療や日常生活の管理も継続してください。
腹部の不快感や痛みを感じた場合は、早めに医療機関に受診し、重症化を防ぐことも重要です。
関連する病気
急性虫垂炎胆石症腸閉塞腸捻転
尿管結石胃腸炎急性膵炎憩室炎
消化性潰瘍穿孔
卵巣茎捻転
参考文献
一般社団法人日本腹部救急医学会急性腹症診療ガイドライン2015
日本内科学会雑誌急性腹症
日本救急看護学会救急初療看護に活かすフィジカルアセスメント

