●「安易な発信は社会の混乱招く」
──遊びのつもりや悪意がない場合ではどうなるのでしょうか。
遊びのつもりであろうが悪意があろうが、理論上は、悪影響が生じるおそれがあれば罪に問われる可能性があります。ただし、実務上は、現実に悪影響が生じなければ罪に問われることはないでしょう。
一方で、どのような意図があろうと、現実に悪影響を生じさせた場合には、当該画像や映画が虚偽であることを認識している限り、罪に問われる可能性があります。
刑法上の責任を問うためには「故意」があることが必要ですが、「故意」とはその結果が起きることを想定し得た(あるいは危険が発生することを想定し得た)、という程度の認識があれば足り、意図的なものは不要だからです。
生成AIによる画像・動画生成は楽しいかもしれませんが、安易な発信は社会の混乱を招く可能性があることを認識しておいていただくことは重要だと思います。
【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022~2023年) の構成員となった。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第5版(弘文堂)」などがあり、マンガ・ドラマ「しょせん他人事ですから~とある弁護士の本音の仕事~」の法律監修を行っている。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:https://www.alcien.jp

