
その日、Kさんはクリックポストの配達に行っていた。しかしある部屋のドアポストがなぜか開かない。いつもなら簡単に開くはずなのに、ポストの中が何かでいっぱいなのか…?不在票を置いて荷物を持ち帰るか悩んだが、以前その部屋の住人から持ち帰ってクレームが入ったことを思い出した。「わかるぜ。早くほしいよな」と心の中で共感し、Kさんは荷物を力ずくで押し込むことにした。
翌日、そのアパートを通りかかったKさんは驚くべき光景を目にする。一体、何を目にしたのだろうか!?そしてKさんは、怪奇現象よりもおぞましい真実を知ることとなる…。

本作『開かないポスト』について送達ねこさんに話を伺ってみた。
――今回の漫画について「あとで理由を知って、恐ろしさに震えた話です」と送達ねこさんも紹介されていましたが、同僚として人ごとではない今回の話を聞いたとき、いかがでしたか?
配達時にはまさか、中でそんなことが起こっているとは思わないので、本当にあとになるほど震えのくる体験だと思いました。ドアの向こうには、その家の人の日常が普通にあると思っていたので…。ポストを通して、目には見えないけれど触れた現実なので、配達員にはずっと忘れられない出来事だと思いました。
――あらためて考えると郵便局員さんって“1人で”さまざまな方の家を訪ねるので、ある意味、何かあると怖いですよね。身を守る術、危険を誰かに知らせる術とかあるのでしょうか?
配達員は連絡用に各自端末を携帯していて、何かあればすぐ援助を受けられるよう、全員が帰局するまで役職者が郵便局に残っています。女性職員にとって危険が予想される場合なども、行かないよう配慮されることがあります。安全はやはり最優先ですね。殺人事件があったところでも郵便があれば行くのですが、配達員たちは「幽霊が出るよりも、犯人がまたやってくる方がずっと怖い」と言っています。

本作を読んだ読者からは「ヒェッ!」「ひぃぃっー」「ぞわっとキター」という悲鳴がコメント欄を賑わわせた。「あの重みは…って同じような郵便受けに手紙入れる度に思い出しそう」というコメントも届いていたが、本当にそう思う。しかしどんなトラウマを抱えようと、郵便局員たちは郵便物が届く以上、物件を選り好みできず、配達先を避けて通ることはできない…。そう考えると、ネット通販で物品を購入することが日常となった現代、どんなところにも配達してくれる配達員さんたちには感謝しかなく、頭があがらない。
『郵便屋が集めた奇談』は、読者から「こういう不思議で怖い話って好き」「けっこう背筋がゾクッとしたけど、めちゃくちゃおもしろい…!」と好評だ。日本のどこかの町でひっそりと起こっている“怪異”を覗き見してみよう。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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