
1896年4月22日付 徳富蘇峰書状(勝海舟宛、部分)
東京・大田区立勝海舟記念館では、11月14日(金)~令和8年3月8日(日)の期間、企画展「海舟に続け!若者たちの異国見聞」を開催している。
海舟の教えを受け世界へ旅立った人の姿を明らかにする
勝海舟自身のアメリカ渡航や、彼がこの経験から数多くの人々を教育したことは、よく知られている。一方で、海舟の教えや影響を受けた時点でまだ何者にもなっていなかった後進たちの存在と歩みについては、坂本龍馬ら一部の人物を除きほとんど注目されてこなかったそう。
そこで「海舟に続け!若者たちの異国見聞」では、大田区立勝海舟記念館収蔵資料の中から新たに発見された明治期の若き渡航者たちに関する新出資料14点に光を当て、明治時代に先達・海舟の教えや薫陶を受けて世界各国へと旅立っていった人々の姿を明らかにしている。
今回注目している若者たちはいずれも、一般的に知られていない人々だが、これから何かを成し遂げようと模索する成長途上にあり、個々に海舟が成し遂げられなかった異国での独自の体験や、ドラマを有していた。彼らに対する海舟の言葉や眼差しは示唆深く、現代を生きる人々をも勇気づけてくれるだろう。
赤坂氷川邸でのやり取りを想像しながら、海舟が彼らから受け取った手紙等を観ることで、「海舟が海外渡航にかけた熱意や志がいかにして後進に受け継がれ、近代日本の中に花開いたのか」、また「教育者としての当時の海舟の存在感や役割」が明らかとなる。
展示の見どころについて

ボストン大学に留学した若者がアメリカから海舟に宛てた手紙
展示の見どころは、3つ。
1つ目は、「お前は何処へ何しに行くんだい どうしてそれをお思い立ちだい」。 未熟だった頃の若者たちは、海舟とどのようにして出会ったのか。そして、海舟は自室「海舟書屋(かいしゅうしょおく)」で彼らをどのように迎え入れたのかを解説。
渡米希望の教誨師を紹介した徳富蘇峰の手紙、日清戦争後の清国を取材しようと考えた記者の手紙、ロシアでの事業再起を志す若者を紹介した衆議院議員の手紙、ハワイでの伝道を志した牧師を紹介した同志社長の手紙を展覧している。
2つ目は、「そりゃどうもいい考えだ 考えが面白いじゃないか」。若者たちの海外渡航の志を認めた海舟が、彼らに対し具体的にどのような手助けをしたのかについて、解説している。徳富蘇峰の2通の手紙や、ドイツ留学を果たした司法省の若手官僚からの手紙を展覧中だ。
3つ目は、「お前のような血気熾(さか)んな者がやらなけりゃ誰もやるものはありゃしないよ」。実際に海外に旅立った若者たちが、渡航先から海舟に宛てた手紙を紹介している。
アメリカのボストン大学やハーバード大学、イギリスのケンブリッジ大学やロシアのサンクトペテルブルク大学に留学した人々の手紙。そして、上海やマニラで活動し清国やフィリピンの要人と海舟とをつないだ神職の手紙からは、19世紀の激動に身を投じた若者たちの感慨が感じられるだろう。
