「女性の服を着ているから」は理由にならない
2025年12月上旬、X(旧ツイッター)で注目を集めた投稿がありました。
女装を趣味とする人物が、過去に知人(戸籍上男性)が女性用トイレを使おうとした場面に遭遇し、注意できなかったことを「一生の後悔」としてつづったものです。
この投稿には「当事者がダメだといってくれてよかった」「女性からすれば恐怖でしかない」と多くの反響が寄せられました。
この「恐怖」の根本にあるのは、女性スペースに入ってくる人物が、どのような意図を持っているか外見だけでは判断できないという点です。
「生き方」と「趣味」 似て非なる二つの存在
こうした議論の中で混同されがちなのが、「トランスジェンダー」と「女装(異性装)」の違いです。改めて整理すると、その性質は大きく異なります。
●トランスジェンダー(性自認)
心の性が「女性」であり、体の性(男性)と一致していない状態。趣味ではなく、24時間365日、生活のすべてを「女性」として生きることを望み、ホルモン療法や手術を必要とする場合も多くあります。
現在、お茶の水女子大学など多くの女子大学が受け入れを進めているのは、この「女性として生きる人たち」です。
●女装・異性装(趣味・表現)
心の性は「男性」のまま、ファッションや変身願望、ストレス解消などを目的として女性の服を着用すること。
日常生活は男性として送っているケースが大半で、今回のSNSの告白も、こちらのケースに該当します。
つまり、「自分らしく生きるための切実な問題」と、「一時的に楽しむためのファッション」という決定的な違いがあるのです。

