英語能力試験「TOEIC」をめぐる不正受験事件に関連して、筑波大学大学院が今年4月に入学した院生1人の入学を取り消したことがわかった。処分は11月28日付。
筑波大学は12月3日、公式サイト上で入学取り消しを公表し「入学試験の出願書類として提出された英語スコアが実施機関により無効化されたことを確認したため」と説明した。
大学側は4日、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、無効化された英語スコアが「TOEIC」だったと明らかにした。大学側によると、英語テストの不正受験を理由とする入学取り消しは初めてだという。
筑波大学は、提出されたスコアについて、TOEICの運営団体へ照合調査を依頼。その結果、スコアが無効になった受験者本人であることが確認されたとしている。
●大学から問い合わせがあれば情報開示の方針
TOEICを運営する「国際ビジネスコミュニケーション協会」は今年7月、不正受験の調査結果と規約違反者への対応方針を公表していた。
不正行為の疑いで逮捕・起訴された受験者と同じ住所、あるいは似た住所で受験した803人(2023年5月21日〜2025年6月22日までの公開テスト)が、スコア無効の対象となっている。
協会はこれらの受験者について、スコアを提出した学校や団体からの問い合わせに「スコアを無効化したか否か」を開示するとしていた。
不正受験事件をめぐっては、試験問題の解答役をつとめた京都大大学院生の男性が有印私文書偽造・同行使罪の疑いで逮捕・起訴されたほか、解答役をリクルートした疑いで中国籍の男性も逮捕されている。
●どれほどの影響が…TOEIC運営団体は回答差し控え
TOEICのスコアは、大学や大学院で合否判定に利用されるほか、企業の就職においても提出が求められることがある。
筑波大学以外の大学・大学院からの照合の問い合わせについて、弁護士ドットコムニュースが尋ねたところ、協会は「問い合わせの件数についてはお答えを差し控える」とした。

