「自然分娩はタダ」でも「帝王切開は3割負担」?
少子化対策の切り札として議論されている出産費用の無償化。報道によると、厚生労働省は標準的な分娩(ぶんべん)費用を公的保険で全額カバーし、自己負担をゼロにする方向で検討に入りました。これに伴い、現在支給されている「出産育児一時金(原則50万円)」は、廃止または新制度に統合される見通しです。
ここで問題視されているのが、全体の約2割から3割を占めるとされる「帝王切開」の扱いです。
自然分娩は保険適用(自己負担ゼロ)の恩恵をフルに受けますが、帝王切開はもともと「医療行為」として保険適用(3割負担)の対象であり、今回の変更でもその枠組みは維持される方向です。
もし「一時金50万円」が廃止され、帝王切開への補填(ほてん)措置が同時になされなければ、どうなるでしょうか。
これまでは一時金で賄えていた手術費用の自己負担分(高額療養費制度を利用しても約8万~10万円程度)が、そのまま家計にのしかかることになります。「無償化」のはずが、帝王切開の人だけ「手出しが増える」という逆転現象が起きかねないというのです。
SNSで広がる悲鳴「やりたくて切ったわけじゃない」
この仕組みに対し、X(旧ツイッター)などでは12月に入り、当事者からの不安と怒りの声が急増しています。
「1人目が帝王切開だったから、次も確実に帝王切開。無償化の恩恵がないどころか負担増なら、もう産めない」
「好きで帝王切開したわけじゃない。母子ともに助かるために腹を切ったのに、ペナルティーを受けるみたいでつらい」
12月4日には、「厚生労働省に意見を送ろう」と呼び掛ける投稿が拡散され、多くの賛同を集めています。「命がけで産んでいるのは同じなのに、なぜ産み方で差別されるのか」という不公平感が、ママたちの心を深く傷つけているようです。

