「一度切ると、次も帝王切開」の現実
なぜ「2人目は産めない」という声が上がるのでしょうか。その最大の理由は、帝王切開という分娩(ぶんべん)方法の特性にあります。
医学的なリスク管理の観点から、一度帝王切開で出産した場合、次の出産でも帝王切開を選択するケースが大半です(反復帝王切開)。経腟(けいちつ)分娩(VBAC)にトライできる病院は限られており、子宮破裂などのリスクもあるため、多くの人が「次も手術」を選択せざるを得ません。
つまり、1人目を帝王切開で産んだママにとって、2人目の出産費用が「手術代(3割負担)」になることは、ほぼ確定した未来となりえるのです。
「産み方」で数十万円の格差?
ここで、検討されている「無償化(一時金廃止)」の影響が直撃します。
・自然分娩の人:全額無償化で、自己負担はゼロ。
・帝王切開の人:一時金(50万円)という補填(ほてん)がなくなり、高額療養費制度を使っても約10万円前後の「手出し」が発生する可能性が高い。
さらに、手術に伴う入院日数の延長や、個室代などの差額ベッド代を含めれば、その差はさらに広がります。
「2人目が欲しいけれど、産むだけで数十万円のペナルティーを払わされるなら諦めるしかない」
そんな悲痛な叫びは、単なるわがままではなく、生活防衛のための切実な決断といえます。

