台所のアイドル「乾物」を洋風、エスニック料理 にも!

台所のアイドル「乾物」を洋風、エスニック料理 にも!

ある日のわが家の乾物ストック。ローリングストックで日々使いつつ、いつも何かを常備しています

「いつも」の台所にも「もしも」の時にも、乾物さえあれば

産後のご家庭のサポートに伺うことを生業の一つとしていて、たくさんのご家庭の台所にお邪魔してきました。その中で感じたことの一つが、「いろいろな種類の乾物のストックがあり、使いこなしている台所の持ち主は、お料理上手な方が多い」ということ。そんな観察結果から、私自身も乾物により興味を持つようになり、料理に多く取り入れるようになって、レパートリーもずいぶん豊かになりました。

乾物は、その使い方をいろいろ知れば知るほど、多くの推しポイントがある食材。
いまや乾物は、私の「台所のアイドル」的な存在で、乾麺はもちろん、切り干し大根、干しきくらげ、高野豆腐、寒天、ひじき、乾燥納豆、ライスペーパーなどたくさんの乾物を常備しています。

保存時の乾物は、なんだかちょっと地味でわき役的な存在という印象ですが、実は日常でも、野菜や栄養が不足しがちな災害時にも役に立つ主役級のスーパーフード。栄養価も抜群で、収納スペースもあまりとらず、なにより長期の保存がききます。

台風の前日などにカップ麺などの棚が品切れになるのを横目に見ながら、「みんな、買いだめするなら乾物を買ったらいいのになぁ」なんて、思わずおせっかいな想いもこみ上げてしまう、乾物Loverの私。今回は普段の料理の時短にも、災害時の栄養補給にも役立つ乾物の魅力と使い方をお伝えしたいと思います。

乾物の実力!普段の料理の時短に貢献!

例えば、仕事で帰宅が遅くなり、「疲れて、料理をするのは面倒くさいなぁ」なんていう時も。帰宅したらまず、水をはったお鍋に昆布と干しシイタケを入れておけば、うがい、着替えをしている短い間に、あら不思議。お水はお出汁へと華麗なる変身をとげるでしょう。入れておいた昆布とシイタケはちゃちゃっと刻んで。そこに、切り干し大根と、薄切りで売っている乾燥高野豆腐を入れて。余力があれば、ニンジンの千切りなんかも投入してコトコト煮たら、あっという間に栄養満点お味噌汁ができあがる。昆布と干しシイタケは刻んであるものも売っているので、それらを使えば、包丁とまな板を使うことなくお味噌汁を完成させることも可能です。
切り干し大根の味噌汁

ちなみに、「乾物はたっぷりの水で戻す」と思っている方も多いと思うのですが、「水」ではなく「水分」で戻せばOK。水がなくとも、トマトジュースやオレンジジュース、ヨーグルトなどの「水分」を活用しておいしいひと品を生み出すこともできるのです。
例えば、切り干し大根をトマトジュースで戻して、ツナ缶と和えてサラダにしたり。鷹の爪と一緒にオリーブオイルで炒めてアラビアータにしたり。オレンジジュースで戻して、ナンプラーや干しエビ、ナッツとあわせて、ソムタム(青パパイヤのサラダ)のようにアレンジしたりすることも。万が一断水してしまった時にも、トマトジュースやオレンジジュースのストックがあれば調理できるので、ぜひ乾物と一緒にトマトジュースやオレンジジュースも備蓄リストにいれておいてくださいね。

余談ですが、「エビピラフなどの味付きアルファ米をトマトジュースで戻すと、美味しい 」という口コミを見たこともあるので、もし期限切れ間近の備蓄でその2つがあったら試してみてもよいかもしれません。
普段からレシピを増やしておくことで、非常時にもバリエーション豊かで栄養価の高いご飯を食べることができるスキルが身につきます。

お勧め乾物料理あれこれ

切り干し大根

まずはやっぱり、切り干し大根。切り干し大根=和風の煮物、と思っている方も少なくないと思いますが、実は洋風にもエスニックにもアレンジ可能。切り干し大根こそ、台所のアイドル、乾物のセンター的存在とも言える実力の持ち主です。
ヤムウンセン(タイの春雨サラダ)の春雨を切り干し大根で代用するのも美味しくてお勧めですが、つわり中のお母さんなど、女性に人気があるのが、切り干し大根の梅しそ和え。

水で戻した切り干し大根、千切りして茹でたニンジン、千切りした青じそを、叩いた梅干し、砂糖、しょうゆ、ごま油少々で和えたさっぱりした味わいの一品。メインのお肉やお魚を焼きながら、ぱぱっと短い時間で作ることができる副菜です。

切り干し大根の梅しそ和え

子どもたちに人気なのは、切り干し大根と千切りしたニンジン、ベーコン、薄くスライスしたインゲンなどをオイスターソースで炒めて、卵でとじてオープンオムレツにしたもの。一口大に切っておくと、野菜嫌いの子どもたちも、いつの間にかぱくぱくと食べてしまうから不思議です。

高野豆腐

切り干し大根に次いで、常備しておいてほしい乾物が高野豆腐。
高野豆腐は100gあたりのタンパク質量が鶏むね肉を越えるほど豊富といわれ、また、ミネラルも豊富。特にカルシウムは、木綿豆腐の約6.5倍。鉄分は5倍もあるとされる優秀な食品 です。小さい薄切りタイプなら、完成したお味噌汁にぱぱっとプラスできて、使い勝手もよいので、常備しておくといいでしょう。高野豆腐も、切り干し大根同様に「和風の煮物しかできない」という印象があるかもしれませんが、こちらも様々な洋風レシピにアレンジが可能な万能食材。揚げびたしなども美味しいですが、戻した高野豆腐をオリーブオイルで表面をカリッと焼くのもお気に入りです。お勧めは、トマト、バジルと一緒に塩麹で炒めた「高野豆腐のトマトバジル炒め」 。彩りも美しくて食欲をそそる一品です。

クスクス

そして、私の1番好きな乾物料理は「世界最小のパスタ」といわれるクスクスのサラダ。
夜寝る前にクスクスをヨーグルトにつけて戻しておきます。朝、角切りにしたキュウリやパプリカ、生ハムなどのお好みの具と和えて、自家製フレンチドレッシングをかけたら完成。火を使わずにできるので、災害時など「もしも」の時にも活用できるし、彩りもきれいなのでちょっとした持ち寄りパーティなどにも。

 

クスクスのヨーグルト戻しサラダ

配信元: 防災ニッポン