家族の介護を続ける中で、「疲れが取れない」「気分が落ち込む」と感じていませんか。真面目に向き合う人ほど、知らず知らずのうちに心身に大きな負担を抱えてしまうことがあります。そんなとき注意したいのが介護うつです。介護うつの原因や特徴、気をつけるべきサインについて専門家に解説していただきました。

監修介護福祉士:
佐藤 恵美(介護福祉士)
1976年生まれ、愛媛県出身。介護・福祉系ライターとして活動中。高校卒業後、販売や営業事務職を経験。30代後半から通信制の大学や専門学校で学びながら看護助手として勤務。夜勤もこなしつつ、介護福祉士、社会福祉士など複数の資格を取得。現在は老人保健施設で支援相談員として従事している。
編集部
はじめに介護うつについて教えてください。
佐藤さん
「介護うつ」とは、家族や身内などを介護している人が、介護を通しての不安やストレスが継続的に蓄積され、引き起こされるうつ病のことを言います。「介護うつ」という正式な病名があるわけではなく、症状は一般的なうつ病と同じです。“介護が発症要因となっているうつ病”というイメージですね。
編集部
介護うつの原因は何でしょうか?
佐藤さん
介護疲れやストレス、現在や未来への不安が主な原因です。これらが積み重なると、身も心も休まらなくなります。休養が満足に取れない日々が続くと、脳の処理機能が低下し、脳のエネルギー不足に繋がります。その結果意欲や判断力が落ちてしまい、これまでのように元気に動けなくなってしまうのです。
編集部
介護うつの特徴にはどのようなものがありますか?
佐藤さん
介護うつにかかると、心身共に症状が表れます。具体的な症状は以下の通りです。・食欲がなくなる
・眠れなくなる
・疲れやすくなる
・常時倦怠感がある
・これまで楽しいと感じたことへの興味がなくなる
・良いことがあっても気分が晴れない、上向かない
・何をしていても楽しめず、疲労感が募る
常に疲れを感じ、これまで熱中していた趣味などに無関心になります。認知症の方を介護している場合、徘徊などの危険も考慮し、常時見守りが必要になるケースがほとんどです。そのため、介護者の自由な時間が少なくなってしまいます。介護に追われるうちに、本来であれば意欲的に取り組んでいたことに対して「面倒だな」「おっくうだな」と感じるようになります。体の調子も悪くなり、いつも疲れている状態に陥る人もいます。
編集部
介護うつになりやすいのはどのような人ですか?
佐藤さん
真面目で几帳面な人が介護うつになりやすいと言えます。完璧主義で責任感の強い人も要注意ですね。「丁寧な介護をしよう」「行き届いた充分な介護をしよう」と思うあまり、頑張り過ぎてしまうからです。また、周りに気を遣い過ぎてしまう人、体の弱い人も介護うつになりやすいタイプです。たとえば徘徊で近隣の人や警察に保護されると、家族は「迷惑をかけてしまった」と思い悩みます。たとえ周囲の人達が「大丈夫ですよ」「お互い様ですよ」と言ってくれても、申し訳ない気持ちでいっぱいになり気持ちが落ち込んでしまう人もいます。こうしたことが積み重なると、介護うつにかかりやすくなります。
編集部
ストレスが限界に達したらどのような症状が出るのでしょうか?
佐藤さん
体にも心にも深刻な症状が表れます。具体的な症状は以下の通りです。・涙が止まらなくなる
・頭痛、めまい
・眠れない
・腹部症状(便秘、下痢など)
・マイナス思考に囚われる
・普通に生活していても悲しい気持ちになる
・自責の念にかられ正常な思考が保てなくなる
これらの症状は、自分の力でコントロールしたり緩和したりできません。いつもなら不調を感じれば受診を考えるのに、ストレスが限界に達するとそうした判断能力や思考能力が著しく低下してしまいます。そうすると、普段できていたことができなくなり、過度なマイナス思考に陥ります。
※この記事はメディカルドックにて【“介護疲れ”から“介護うつ”にならないために 介護のストレス・疲れを軽減する方法を介護福祉士が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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