「寒い時に頭痛がする」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「寒い時に頭痛がする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
寒冷刺激性頭痛(寒冷刺激による頭痛)
寒冷刺激性頭痛(寒冷刺激による頭痛)とは、頭部に外部から当てられた冷たいものの摂取することによってもたらされる頭痛のことを言います。
例えば、アイスクリームやかき氷を急いで食べた時にキーンとこめかみの部分などが痛くなった経験がある方は多いと思います。冷たい食べ物や空気による刺激は、顔の感覚を担当している三叉神経に伝わって、この刺激が痛みとして感じられることで頭痛を引き起こすと考えられています。この頭痛は両側の前頭部や側頭部に見られることが多く、また、片頭痛のある人に多い症状であることも知られています。
急激な温度変化が原因となるため、可能な限り冷たい刺激や寒暖差を避けることが頭痛の発症を減らすことにつながります。冬は部屋全体を適切な温度に温めることや、外出時には防寒対策を行うことが対策となります。かき氷を食べたい場合はゆっくり食べることで、急いで食べる時よりも頭痛が起こりにくくなるかもしれません。
片頭痛
片頭痛は、脳の血管が広がってズキンズキンと拍動する頭痛を起こし、日常生活に大きな支障をきたす病気です。女性に多く若年者層にもよく見られる頭痛として知られており、寝込むほどの強い痛みがあり動けなくなる人もいます。頭痛の前兆として光やギザギザが見えたり(閃輝暗点)、吐き気や嘔吐を伴ったり、光や音に過敏になったりすることが特徴的な症状です。気温や気圧が低下する日や季節の変わり目の時期に頭痛症状が悪化することもあります。
特徴的な頭痛症状があれば片頭痛の可能性が高く、痛み止めを用いた治療を行います。ただし、痛み止めを服用するタイミングによっては痛みがなくならないこともあるため、頻度が高い場合には予防療法を行います。2021年より処方可能になった注射製剤であるCGRP関連予防薬は発作予防の有効性が高いためよく使われています。慢性化すると薬が効かず、緊張型頭痛の痛みとほとんど区別がつかなくなり治療に時間がかかってしまうので、早めから専門医による治療を受けることをお勧めします。脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来などでご相談ください。
緊張性頭痛
緊張型頭痛は、慢性頭痛のなかでも最も多い病気で、頭の周りが締めつけられるように痛くなる頭痛症状が特徴的です。スマホの操作やデスクワークによる長時間の同じ姿勢、肩や首のコリ、ストレス、疲れなどが原因で、首筋の筋肉が緊張して血流が悪くなり疲労物質が筋肉内にたまって痛みが出現すると考えられています。
頭が重く感じたり、頭痛とともにめまいや吐き気を生じたりすることもあります。体を動かすと少しは楽になりますが、1週間程度にわたり頭痛症状が続くこともあります。
痛みを緩和する治療をしながら、発作を予防していくことが重要です。頭痛の緩和には一般的な痛み止めが効果的です。まずは市販の鎮痛薬を試してみましょう。また、頭痛の予防には、日常生活で首の筋肉に負担がかからないような姿勢をとることや、軽い運動やマッサージを行うことなどが良いでしょう。疲れをため込まないこと、睡眠時間を十分に確保することも大切です。睡眠での問題を抱えている場合には、頭痛の問題とともに相談することをお勧めします。脳神経内科、脳神経外科、頭痛外来で相談しましょう。
風邪やインフルエンザ
風邪症候群(風邪)とは、鼻や喉などの急性の炎症状態のことを指します。ウィルス感染が原因で自然に治ることがほとんどです。低い温度ではウイルスの活動性が増すことなどから、寒い時期に風邪をひきやすいと考えられています。風邪は、鼻水や喉の痛み、咳、痰といった鼻や喉の症状以外にも発熱や頭痛、だるさなど全身の症状も出現することが多くあります。いわゆる慢性的な頭痛では頭痛の症状が特に強く感じられるのに対して、風邪にともなう頭痛は、全身のいろいろな症状が見られるため区別できます。
風邪症状を生じるウイルスの中でも、インフルエンザウイルスによる感染症は、38度前後の発熱が3日間程度続いて、喉の痛み、咳、倦怠感、筋肉痛、関節痛、頭痛などの症状を認めることが典型的です。日本では冬に流行することが多く、ワクチンを打つことで重症化を防ぐことができます。インフルエンザウイルス感染症では発症してから48時間以内に抗インフルエンザウイルス薬を使用すると、速やかに症状が緩和される効果があります。
もともと持病がない場合には体力が回復するのと同時に症状が改善することが多いのですが、何らかの基礎疾患があり症状の悪化が心配される場合や、辛い症状が続いて水分や食事も取りづらいような場合には、早めに内科を受診することをお勧めします。
「寒い時に頭痛がする」症状の正しい対処法は?
ご自身の頭痛の特徴をとらえることが対処法につながると思います。
冷たい食べ物を急いで食べて痛みが出るならばゆっくり食べること、気温が下がった日に外出する際には頭痛が悪化する場合には寒さ対策を十分に行うこと、季節の変わり目であれば時期的に早めから対策しておくことなどです。
普段からあまり運動していない場合には、肩や首まわり、背中などが凝っている可能性もあります。寒さによって筋肉が緊張しやすくなって頭痛につながってしまう可能性もあるので、短時間でも良いので普段から体を動かしておく習慣を持つようにしましょう。肩甲骨を意識して肩を回すようなストレッチや、ゆっくりお風呂につかること、ネックウォーマーを使うことなども効果的です。睡眠をしっかりとることで疲れを残さないことも重要です。眼精疲労もある場合には、ホットアイマスクの使用も試してみてください。
生活習慣を見直してセルフケア対策をして、さらに市販薬を服用しても頭痛が改善しない場合には医療機関で相談してください。痛みが改善しないからといって、痛み止めの薬をなん度も飲んでいる場合には、薬が効きづらくなり、むしろ痛みが悪化することもあるため注意が必要です。長期間にわたり頭痛薬を月10日以上服用している場合には早めに医療機関で相談してください。
特に片頭痛がある場合には、発作予防の注射薬は有効性が高いため、その予防薬の使用をお勧めしています。頭痛で寝込んでしまうレベルの方はもちろん、頭痛があることを気にして生活している方には、予防療法をしっかり行うことが重要です。

