コロナ禍だったから早期発見できた
編集部
受診から、現在にいたるまで、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。
na_iさん
骨肉腫とわかったときはコロナ禍で、入院時は面会も外泊も外出もできない状況だったこともあり、精神的にも本当につらかったです。一方で、実家の母の仕事がコロナで休みになっていたため、母に子どもを預けて受診することができたので、コロナ禍じゃなかったら「発見がもっと遅れていたかもしれない」とも思います。当時は子どもが小さかったので、母の存在がなければ足の痛みや膝の腫れくらいでは病院に行こうとしなかった気がします。
編集部
病気の前後で変化したことを教えてください。
na_iさん
骨肉腫になる前は、子育てなどが大変で日々のことを考える余裕はありませんでした。しかし、病気になって、長期に入院していると精神的に参ってしまっていたので、退院後しばらくすると、ただただ「家族との慌ただしくもあり平凡な何気ない毎日」が本当に幸せなんだと思うようになりました。もう一つ、少しでも身体に不調があればすぐ病院を受診するようになったのも大きな変化です。
編集部
今までを振り返ってみて、後悔していることなどありますか?
na_iさん
結果は転移もなく早期発見だったと思いますが、「足が痛いなぁ」と思ってから病院を受診するまで、やや時間がかかってしまったので、そこは少し後悔しています。痛いなぁと思ったらすぐ受診しないといけないと思いました。あれ以上受診を先延ばししていたら転移していたかもしれないと思うと本当に怖いです。
編集部
現在の体調や生活はどうですか?
na_iさん
現在は「無再発で経過しており、寛解状態」という状態で、6カ月に1回定期検査に行く以外は通常通り生活しています。走る、正座するなども問題なくできています。私生活では、治療終了1年後くらいに3人目を授かり、無事に出産出来ました。
編集部
医療機関や医療従事者に望むことはありますか?
na_iさん
医療機関や医療従事者には本当に感謝しかないです。あえて言うなら、抗がん剤の影響で「毛が抜けます」としか聞いていなかったので、髪の毛やまつ毛など、体の毛がほぼ抜けてショックでした。お風呂やベッドなど本当に髪の毛だらけになり「テレビでは見たシーンは本当なんだ」と思いました。個人差はあるにせよ「どれくらいの期間にどのくらい抜ける」などしっかり聞いていたら、もっとショックも少なかったかもしれないと思います。また、お風呂も、私が入った後は掃除しないと次の人が入れないくらいの抜け毛でしたので、時間帯なども少し配慮してもらえたら嬉しいなとも思いました。長期の入院や全身麻酔での精神的なダメージなど(人それぞれだと思いますが…… 手術の説明はしっかりありました)前もってのカウンセリングなどあったらよかったなぁと思います。
編集部
最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
na_iさん
本当に早期発見は大事です。そして、異変に早く気づくためには、自分の普段の体の状態を把握しておくことも大事だと思います。さらにもう一つ、最初の病院を選ぶのも大事だと思いました。私はMRIの検査ができるクリニックを受診しました。そこでMRIの検査をスムーズに受けることができ、骨肉腫の可能性に気づいてもらうことができました。大学病院でも精密検査がスムーズに受けられ、診断の確定をしてもらい、早期に治療が受けられたと思いますので、本当に最初に受診する病院の医師や設備なども重要だと思います。
編集部まとめ
治療中から治療後にかけて、精神的に不安定な時期もあったというna_iさん。それでも少しずつ日常を取り戻し、今では3人目のお子さんにも恵まれ、家族との穏やかな時間を過ごしています。「あれ以上受診を先延ばししていたら転移していたかもしれない」と語るna_iさんの言葉からは、早期発見の大切さと、病を乗り越えた強さが感じられました。
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

