――価格改定の進捗状況は
10月に入ってから、業務用は価格の実勢化が着実に進んでいる。ただし発表した値上げ幅までには及んでいないのが実情だ。家庭用はさらに及んでいないが、ようやく全国のスーパーやドラッグストアで売価が変わり始めた。
1月からの更なる価格改定を発表しているが、先に発表している値上げ幅までは至っていないので、合わせてご理解いただくよう努める。不足分は実勢化していく必要があり、まずは今年2回目の改定幅を確保したい。
3回目の価格改定について、実施を決めたのは、国内製造の高品質な油を将来も安定的に、お客様へ供給する責任を果たし続けるという大義からだ。
今後の国際環境、油とミールの需要、さまざまなコストの上昇、機械費や工事費までも上がっている中で製造設備への投資も必要だ。そのような見通しを考えた時に、現在の価格決定プロセスや事業収益構造で、将来も安定して製造と供給を続けられるかという危機感がある。価格改定は責任を果たすために必要だと判断した。そのメッセージは出し続けたい。
――下期の取り組みについて
1つは、汎用油の適切な価格形成の理解を進めていく。2つ目は付加価値の領域に注力する。業務用では当社独自技術「SUSTEC」や調味・調理油「JOYL PRO」の更なる育成だ。
次の柱として、今夏には「JOYL PRO 美味得徳こくアップオイル」を発売した。少量添加するだけで肉などの素材のおいしさを引き出す油だ。ハンバーグの調理といった、ひき肉をこねる時に加えることで後味とコクを引き立てる。
チャーハンなどにも幅広く使えて汎用性が高い。お客様は、さまざまなコストが上昇する中、素材のコスト削減とおいしさの維持を両立しないといけない。コストをかけずに味を向上できる製品として次の柱に育てていく。
このほか、「長徳」とITを活用したサービスで、油脂劣化測定など、油の適切な管理を実現する業務支援サービスも確立し、お客様の課題解決を強化していく。
家庭用はSGPに引き続き注力する。また、今秋にはJOYL「AJINOMOTO MCTオイル」も発売した。「健康」の付加価値領域についても伸ばしていきたい。
JOYL「AJINOMOTO ダブルハーフ」は良い製品と自負しているが、使用量を半分にでき、油ハネも半分という特徴の認知が拡がっていない。特徴を理解していただけると支持される商品なので改めて訴求していく。

