入れ歯の作り方|作製の流れや完成までの期間の目安、メンテナンスも解説

入れ歯の作り方|作製の流れや完成までの期間の目安、メンテナンスも解説

入れ歯は、失われた歯を補うための大切な治療法です。むし歯や歯周病、事故などさまざまな原因で歯を失うと、食事や会話に支障が出て生活の質が低下してしまいます。そのような状態を改善する入れ歯は、単に歯の見た目を補うだけでなく、噛む・話すといったお口の機能を回復し日々の生活の質(QOL)を大きく向上させる重要なものです。本記事では、入れ歯が必要になる背景や種類の基礎知識、実際の入れ歯作製の流れ、完成までにかかる期間の目安、そして作製後の定期メンテナンスについて解説します。

入れ歯の基礎知識

入れ歯の基礎知識

入れ歯について検討し始めた方向けに、まずは基礎知識を押さえておきましょう。入れ歯が必要となる代表的なケースや、入れ歯の種類と素材の違いを解説します。

入れ歯が必要なケース

入れ歯はどのような場合に必要になるのでしょうか。高齢の方だけでなく、さまざまな要因で歯を失った場合に入れ歯治療が選択されます。代表的なケースを挙げてみます。

重度のむし歯・歯周病

事故や外傷による歯の喪失

加齢による歯の喪失

残存歯が少なくブリッジが困難

インプラントが難しい場合

以上のように、入れ歯は一本から多数の歯を失ったさまざまなケースで必要です。歯を失ったまま放置するとほかの歯や顎にも悪影響が及ぶため、早めに歯科医師に相談し適切な補綴治療の提案を受けることが大切です。

入れ歯の種類

一口に入れ歯といっても、失った歯の本数やお口の状況、使用する素材によっていくつかの種類に分けられます。ここでは大きく総入れ歯と部分入れ歯に分類し、それぞれの特徴や素材の違いを解説します。

区分内容・構造特徴・メリット注意点・デメリット

総入れ歯・上顎または下顎の歯がすべて失われた場合に使用します。
・義歯床(入れ歯の土台)が歯茎を覆い、粘膜と顎骨への吸着で安定します。・すべての歯を一度に補えるため、食事や会話機能を回復できます。
・見た目も自然に仕上がります。・天然歯より噛む力が弱く、吸着が不十分だと外れやすいことがあります。
・精密な型取りが重要です。

部分入れ歯・一部の歯が残っている場合に使用します。
・残存歯に金属のバネ(クラスプ)をかけて固定する構造です。・失った歯の数や位置に合わせて設計でき、支えがあるため安定性が高いです。
・取り外しも可能です。・クラスプが見えると見た目が気になる場合があります。
・残っている歯への負担も考慮が必要です。

このように、総入れ歯と部分入れ歯にはさまざま違いがあり、それぞれメリットとデメリットは異なります。これらの特徴を考慮して、患者さんの歯の状態に合った入れ歯を選択します。

総入れ歯・部分入れ歯の作り方

総入れ歯・部分入れ歯の作り方

ここからは、実際に入れ歯ができるまでの作製工程について解説します。総入れ歯でも部分入れ歯でも基本的な流れは似ており、いくつかのステップを経て完成します。

カウンセリングを受ける

入れ歯作製は、まず歯科医師とのカウンセリングから始まります。患者さんの現在のお口の悩みや要望をしっかり聞き取り、入れ歯治療への不安や疑問に答えながら治療方針を立てていきます。

具体的には、最初の診察時にお口の状態の簡単なチェックやレントゲン撮影を行い、歯が残っているか・歯茎や顎骨の状態はどうかを確認します。そのうえで「どのような入れ歯が適しているか」「入れ歯以外の選択肢はあるか」などについて歯科医師から説明があります。

また、患者さんの生活スタイルや希望も大切です。よく噛めることを重視したい、見た目を自然にしたい、費用はできるだけ抑えたいなど、それぞれの要望に合わせて入れ歯の種類や素材の提案が行われます。

口腔内の検査を受ける

カウンセリングに続いて、より詳しいお口の検査を行います。入れ歯を作る前提として口腔内を健康な状態に整える必要があるため、この段階で問題がみつかれば対処します。

歯科医師が口腔内を隅々まで検診し、残存歯の本数や位置、歯茎の粘膜の状態、噛み合わせの癖などを詳しく調べます。具体的には歯周病の検査やむし歯の有無のチェック、義歯を安定させる顎骨の形状確認などを行います。

残っている歯については、入れ歯を支える支柱となるため、グラつきが強い場合は抜歯を検討したり、むし歯がある場合は事前に治療します。

歯茎の型を取る

入れ歯作りでもっとも重要な工程の一つが、お口の型取りです。歯科医師が患者さんの歯茎や残っている歯の形を型取りし、その型をもとに入れ歯を作製します。

具体的には、まずやわらかい印象材(アルジネートなど)を用いて上顎・下顎それぞれの型を採ります。トレーと呼ばれる枠にペースト状の印象材を盛り、お口の中に数十秒あてがって硬化させます。

硬化後にそっと外すと、歯茎や歯の形状が陰型として写し取られます。この一次印象をもとに石膏模型を作り、さらに精密な個人トレー(患者さん専用の型枠)を製作して、二次印象を行う場合もあります。二次印象ではシリコン系の印象材を使い、より歯茎の細かな凹凸まで写し取ります。この型取りによって、ぴったり合う入れ歯の土台ができます。

噛み合わせを確認する

正しい噛み合わせの確認も、入れ歯作りには欠かせない工程です。特に総入れ歯ではすべて人工の歯になるため、上下の顎の位置関係や噛み合わせの高さを一から決め直す必要があります。

型取りから作った模型上に、歯科技工士がろう義歯と呼ばれる仮の土台を作製します。ロウ堤は蝋でできた土手のようなもので、この上に歯を並べることで噛み合わせの高さや前後左右の位置を測定します。患者さんにはこのロウ堤をお口に入れて咬んでもらい、適切な高さか、唇の厚みや見た目は自然かなど細かく確認します。
部分入れ歯の場合も、残っている歯と人工歯がスムーズに当たるように噛み合わせを調整します。残存歯の噛み癖や動揺の程度も考慮しながら、高さや位置を決定します。必要に応じて残存歯の噛み合わせ面をわずかに削って調整することもあります。

仮の入れ歯を試す

本番の入れ歯が完成する前に、仮の入れ歯を実際にお口に入れてみて、見た目や噛み心地を確認する段階です。この時点で細かな調整を加えることで完成度を高めます。

前工程で得られた噛み合わせや型の情報をもとに、歯科技工士が人工歯を並べた仮の入れ歯を作ります。この仮の入れ歯を患者さんのお口に入れてみて、歯並びや咬み合わせ、発音、顔貌などを確認します。もしこの段階で不具合が見つかれば、人工歯の配置を直すことができます。

完成した入れ歯の装着・調整

いよいよ完成した入れ歯をお口に装着する段階です。歯科医師が装着し、痛みや違和感がないか確認します。初日の段階では多少の異物感はあるかもしれませんが、強い痛みやまったく噛めないほどの不具合があれば調整が必要です。

配信元: Medical DOC

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