一過性脳虚血は脳卒中の前触れとしてあらわれます。症状が消失するため放置されがちですが、そのまま脳梗塞に発展することは少なくありません。
その後の重症化を避けるためにも、発症した時点で治療を受けることが大切です。
今回は、一過性脳虚血の特徴や症状について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「一過性脳虚血」とは?症状・原因についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会
一過性脳虚血は危険な病気?

一過性脳虚血とはどんな病気なのですか?
一過性脳虚血とは脳血管障害の1種で、症状が短時間にあらわれて消失します。
発症原因は血流が一時的に停止し、脳が酸欠に陥ることです。
脳卒中とよく似ていますが、こちらはあくまで一時的な発作です。多くの場合、血流は数分~1時間程度で再開します。血流の再開に伴って発作・症状も消失します。
一過性脳虚血の症状を教えてください。
一過性脳虚血の症状は脳卒中の症状とほぼ変わりません。たとえば下記のような症状が代表的です。麻痺:手足に力が入らない・顔の片側がゆがむ
感覚障害:手足のしびれ・感覚の鈍麻あるいは過敏化
運動失調:歩行時に足をひきずる・まっすぐ歩けない
言語障害:ろれつが回らない・言葉が出てきづらい
視野障害:片目が見えない・二重映しに見える・視野の一部が欠ける
症状の種類・程度は脳の損傷部位によって異なります。症状は、身体の左右どちらかにのみあらわれることがほとんどです。症状は損傷した脳の反対側にあらわれます。たとえば右脳の障害の場合、症状があらわれるのは左半身です。
一過性脳虚血は脳梗塞の危険性があると聞いたのですが…
発症者のうち、約15%の方がその後の脳梗塞を経験しています。特に目立つのは48時間以内の発症です。
発症後速やかに適切な治療を行えば、その後の脳梗塞のリスクを低減できます。
しかし一過性脳虚血は症状が短時間で消失するため、そのまま放置する方は少なくありません。重症化を防ぐためにも、発症後は速やかに医療機関を受診してください。
一過性脳虚血は何が原因で発症するのでしょうか?
一過性脳虚血の原因は主に3つあります。塞栓性
心原性塞栓性
血行力学性
塞栓性とは、血管内でできた血の塊(血栓)が脳血管に詰まることです。心臓でできた血栓が脳血管を詰まらせる場合は、心原性塞栓性と呼ばれます。血行力学性とは、簡単にいえば血管内部が狭くなることです。ひどい場合は血管が完全に閉塞することもあります。
いずれの場合でも血流が著しく悪くなるため、脳に血液が届きにくくなり、一過性脳虚血に至ります。塞栓性・血行力学性の原因としては、動脈硬化が代表的です。動脈硬化とは血管が柔軟性を失って収縮する状態です。血管内部が狭くなるため、血流に支障が出やすくなります。また、動脈硬化は血栓の原因でもあります。
一過性脳虚血になりやすい人の特徴を教えてください。
一過性脳虚血発作の原因としては、生活習慣の乱れ・生活習慣病が代表的です。生活習慣病がある(糖尿病・高脂血症・高血圧・不整脈)
栄養の偏った食事
運動不足
ストレス・過度の疲労
肥満
喫煙
上記は動脈硬化の危険因子です。動脈硬化が進むと血管が損傷しやすくなるため、発症リスクが高まります。
編集部まとめ

一過性脳虚血は症状が短時間で消失するため、放置する方は少なくありません。しかし脳卒中の前触れの可能性が高いため、たとえ短時間で回復しても放置はしないでください。
また、健常者の脳構造では、多くの重要な血管が張り巡らされており、そこから脳実質に必要な栄養と酸素が供給されていますが、血管の動脈硬化性変化などによって脳血管の一部が細くなり閉塞してしまうと、脳組織へ十分な酸素や栄養が供給されなくなることで、血流を受けている部分の脳に障害が生じて片麻痺や呂律困難などの症状が引き起こされます。
気になる症状がある場合は、必ず病院を受診しましょう。
参考文献
一過性脳虚血発作(TIA)|聖マリアンナ医科大学 東横病院 脳卒中センター
一過性脳虚血発作(TIA)について|東京逓信病院
抗血小板薬|名古屋徳洲会総合病院

