札幌市のそば屋で、カキフライなど約8000円相当を無銭飲食したとして、女性がこのほど、詐欺の疑いで北海道警に逮捕されました。
北海道文化放送の記事(11月26日ウェブ配信)によると、逮捕時、女性の所持金は15円。「詐欺ではありません。来週支払う予定でした」と容疑を否認したそうです。
では、一般的に、今回のような「来週支払うつもりだった」という言い分は通るのでしょうか。冨本和男弁護士に聞きました。
●店は当然「食後すぐに支払いがある」と考える
結論から申し上げますと、「来週支払うつもりだった」という主張が認められる可能性は極めて低いです。
詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合に成立します(刑法246条1項)。ここでいう「欺く行為」には、言葉だけでなく、注文などの挙動も含まれます。
飲食店で食べ物を注文する行為は「食後に代金を支払う意思がある」という前提を相手に信じさせるものです。わざわざ「あとで払います」と明言しなくても、注文した時点でそう理解されるのが常識ですよね。
事前に「来週支払う」と説明していなければ、店側は当然「食後すぐに支払いがある」と考えます。もし「来週支払う」という事情を知っていたなら、店は食事の提供に応じなかったと考えられます。
したがって、「来週支払うつもりだった」という言い分は、詐欺罪の成立を左右する事情にはならず、通用しないと考えます。
また、所持金が15円しかなかったという点は、当初から支払い意思がなかったと判断する事情の一つとして扱われる可能性があります。
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp

