映画ライター・ムービージャーナリストのよしひろまさみちさんが、今月もマストな映画ニュースをモリモリお届けしますよ〜。
『Coda コーダ あいのうた』を超えました
『みんな、おしゃべり!』
11月29日より全国順次ロードショー
アカデミー賞受賞作品『Coda コーダ あいのうた』(2021年)よりもさらにエモく、スリリングで、しかも笑えるという、CODA(デフの家族を持つ聴者の子ども)を主人公にした傑作が『みんな、おしゃべり!』です。関東某所を舞台に、通訳を介さないとコミュニケーションができない人々……手話、クルド語、英語などの話者のすれ違いを、ヒリヒリした対立からほっこり笑顔の融和までジェットコースターのように描き切ります。監督自信がCODAであることから、出演者の当事者性もばっちりですよ。
story 電器店を営むデフの父・和彦(毛塚和義)と弟と3人で暮らす夏海(長澤樹)。ある日、和彦がクルド人一家ともめごとを起こしてしまい、夏海とクルド青年・ヒワ(Y・フラット)が通訳として駆り出されるのだが……。
監督:河合健/出演:長澤樹、毛塚和義、板橋駿谷、小野花梨、ユードゥルム・フラット ほか/配給:GUM/公開:11月29日より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
© 2025映画「みんな、おしゃべり!」製作委員会
SNSと陰謀論と本当の“悪”
『エディントンへようこそ』
12月12日より全国ロードショー
異色スリラー『ミッドサマー』(2019年)で世界中を苛立ちと恐怖に陥れたアリ・アスター監督の最新作。『エディントンへようこそ』は、陰謀論渦巻くSNSに影響されまくるとこうなる……という現実味あるコロナ禍を舞台にした恐怖映画。相変わらず淡々とエグいことばかりを描き出している作品ですが、これを観終わると「あれ?陰謀論ってガチでヤバくね?」と確信を持てる社会派でもあります。しかも、ホアキン・フェニックスとペドロ・パスカル、エマ・ストーンなど、監督と仲良しの名優たちがこぞってぶっ飛びの芝居合戦を繰り広げてますよ〜。
story 2020年、コロナ禍でロックダウンされた小さな町エディントン。市長テッド(P・パスカル)とマスク着用を巡って口喧嘩になった保安官ジョー(J・フェニックス)は、彼に対抗して市長選に立候補。その諍いはSNSを使った扇動で住民を巻き込んで大炎上していくが……。
監督:アリ・アスター/出演:ペドロ・パスカル、ホアキン・フェニックス、エマ・ストーン、オースティン・バトラー ほか/配給:ハピネットファントム・スタジオ/公開:12月12日より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
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text:MASAMICHI YOSHIHIRO
otona MUSE 2026年1月号より

