3.あくび
最後の3つ目は、あくびです。
人間にとってあくびは眠たいときのサインですが、猫の場合は、想定外の出来事が起こったときのセルフケアの要素も持ち合わせています。
典型的なのは、愛猫が寝ている場面です。
あまりのカワイイ寝姿に、飼い主さんがつい触ってしまうと、パッと目の覚めた愛猫が、ひとしきり「くわぁ~」と大あくびします。
一見すると、ただ眠たいだけ、と思うかもしれません。ところが、このあくびには、愛猫なりの違和感が潜んでいる可能性もあります。そのときの気持ちを表現すれば、「心地よく寝てたのにいきなり起こされてちょっとイヤな感じ…」です。
睡眠中のトラを起こしたら、間違いなく悲惨なことになりますが、愛猫は根っからの飼い主さん想いなので、噛みつかずに、生あくびで小さなストレスをうっちゃります。
フランスには「寝ている猫を起こすな」という古いことわざがあります。愛猫の安眠妨害は、古今東西で罪深き行為です。
もし愛猫が驚いたり、失敗したりして、毛づくろいや爪研ぎ、あくびなどを始めたら、「あっ、例のやつだな…」と判断し、落ち着きを取り戻すまでやさしく見守ってあげてください。
まとめ
ちょっとしたストレスを感じたとき、猫は気持ちをなだめるため、「転位行動」を始めます。
今回は、日常的によく見られる転位行動として、「毛づくろい」、「爪研ぎ」、「あくび」を挙げました。
転位行動の特徴は、短時間で終わり、さっさと次の行動に移ることです。猫特有の切り替えの早さは、クヨクヨと落ち込みがちな私たち人間にはとてもマネできません。
転位行動中の愛猫は、もっぱら自分のことに集中しています。むやみに手を出すと、攻撃の対象になりかねないので、飼い主さんはそっとしておいてあげましょう。

