猫に噛まれて発症する可能性のある感染症
猫に噛まれたことによって感染症にかかる可能性がありますが、どのような感染症のリスクがあるのでしょうか。以下で解説します。
破傷風
破傷風菌が猫の爪や歯に付着している場合、噛まれた傷口から体内に侵入し、感染を引き起こすことがあります。
症状
猫に噛まれた際、破傷風を発症する可能性があります。破傷風菌は土壌中に存在し、猫が土を舐めることで口内に菌が付着し、それが人間の体内に侵入することがあります。
感染後、約3日~3週間の潜伏期間を経て、お口が開けにくい、首筋の張り、全身の筋肉のこわばりや痙攣などの症状が現れます。
症状が進行すると、全身の筋肉が硬直し、呼吸困難を引き起こし、死に至ることもあります。破傷風はリスクが高いとされているため、猫に噛まれた際には、速やかに医療機関を受診し、適切な処置を受けることが重要です。
治療
猫に噛まれた際、破傷風のリスクを考慮し、迅速な対応が求められます。まず、傷口を流水と石鹸で十分に洗浄し、細菌の除去を試みます。その後、医療機関を受診し、医師の判断により、破傷風トキソイド(ワクチン)や抗破傷風ヒト免疫グロブリンの投与が検討されます。
特に、過去10年以上破傷風ワクチンを接種していない場合や接種歴が不明な場合、これらの予防措置が推奨されます。
破傷風は適切な治療を受けないと致命的な経過をたどることがあるため、猫に噛まれた際には早急に医師の診察を受けることが重要です。
カプノサイトファーガ感染症
猫の唾液中に存在するカプノサイトファーガ属菌が、噛まれた部位から侵入し、感染症を引き起こす可能性があります。
症状
猫に噛まれた際、カプノサイトファーガ感染症を発症する可能性があります。この感染症は、カプノサイトファーガ属菌が傷口から体内に侵入することで引き起こされます。主な症状として、発熱、倦怠感、頭痛、腹痛、吐き気などが挙げられます。
ほとんどの場合、これらの症状は自然に治癒しますが、一部のケースでは重症化し、敗血症や髄膜炎、播種性血管内凝固症候群(DIC)などの深刻な合併症を引き起こすことがあります。
特に、免疫力が低下している人や基礎疾患を持つ方、高齢の方などは重症化のリスクが高いため、注意が必要です。
治療
カプノサイトファーガ感染症の治療は、まず、傷口を流水と石鹸で十分に洗浄し、細菌の除去を試みます。その後、医療機関を受診し医師の判断により、抗菌薬の投与が行われます。
なかでも、ペニシリン系やテトラサイクリン系の抗菌薬が推奨されていますが、一部の菌株はβ-ラクタマーゼを産生するため、β-ラクタマーゼ阻害剤との合剤など、影響を受けにくい薬剤の選択が望ましいとされています。
パスツレラ症
猫の口内に常在するパスツレラ菌が、噛まれた傷口から体内に入り、感染を引き起こすことがあります。
症状
猫に噛まれた際、パスツレラ症を発症する可能性があります。パスツレラ菌は猫の口腔内に常在しており、噛まれた傷口から体内に侵入することで感染します。数時間以内に噛まれた部位が赤く腫れ、激しい痛みを伴うことが多いとされています。
また、発熱やリンパ節の腫れが見られる場合もあります。さらに、傷が関節付近の場合、関節炎を引き起こすことがあり、骨に達する深い傷では骨髄炎のリスクも考えられます。
なかでも、免疫力が低下している方や基礎疾患を持つ方は、敗血症や肺炎など重篤な合併症を引き起こすこともあるため、猫に噛まれた際には、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
治療
パスツレラ症の治療では、まず、傷口を石鹸と流水で十分に洗浄し、細菌の除去を試みます。その後、医療機関を受診し、医師の判断により、抗生物質の投与が行われます。
なかでも、ペニシリン系、テトラサイクリン系、セファロスポリン系の抗生物質の効果が期待されています。
猫引っかき病
バルトネラ・ヘンセラ菌を保有する猫に噛まれたり引っかかれたりすることで、猫ひっかき病に感染することがあります。
症状
猫に噛まれた際、猫ひっかき病(バルトネラ・ヘンセラ感染症)を発症する可能性があります。この感染症は、猫に引っかかれたり噛まれたりした後、3〜10日程度で傷口が赤く腫れ、痛みを伴うことがあります。
その後、1〜2週間以内に発熱、頭痛、倦怠感などの全身症状が現れ、傷口付近のリンパ節が腫れることが特徴です。例えば、手を噛まれた場合は脇の下、足を噛まれた場合は足の付け根のリンパ節が腫れることがあります。
これらの症状は軽度で自然に回復しますが、まれに脳症や心内膜炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあり、免疫力が低下している方は注意が必要です。
治療
猫ひっかき病(バルトネラ・ヘンセラ感染症)の治療法としては、局所の温湿布や鎮痛薬の投与が用いられます。特に、リンパ節の腫れが強い場合や全身症状が見られる場合には、アジスロマイシンやドキシサイクリンなどの抗菌薬の効果が期待できます。
一方で、免疫力が低下している方や重篤な合併症を引き起こした場合には、より積極的な治療が求められます。
猫に噛まれたときの応急処置の方法
猫に噛まれた後にできる応急処置について、自宅と病院でそれぞれできることを解説します。
自宅でできる処置
まず、自宅でできる応急処置を解説します。
1.流水で噛まれた部分を洗い流す
猫に噛まれた際には、まず傷口を流水で洗い流すことが大切です。
噛み傷は深く細菌が入り込みやすいため、できるだけ早く、5〜10分程度を目安に、傷口を流水にさらし、内部の細菌や汚れを除去します。
この際、石鹸を使用して洗浄することもおすすめで適切な洗浄により、感染症のリスクを減らせます。
2.噛まれた部分を消毒する
流水で噛まれた部分の洗浄後に消毒を行うことが重要です。消毒には、ポビドンヨードやオキシドールなどの消毒薬が効果が期待できます。
3.清潔なガーゼを噛まれた部分にあてる
噛まれた部分の洗浄と消毒を終えたら、傷口に清潔なガーゼや布をあて、軽く圧迫して出血を抑えることで、外部からの細菌の侵入を防ぎ、傷口を清潔に保ちます。その後、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
病院での処置
猫に噛まれた際、医療機関では、まず傷口の状態を確認し、必要に応じて洗浄や消毒を行います。感染予防のため、抗生物質の投与が検討され、特に深い傷や感染のリスクが高い場合には、抗生物質の処方が行われます。
また、破傷風の予防接種が必要と判断されることもあります。傷の深さや部位によっては、縫合やレントゲン検査が行われる場合もありますが、適切な治療を受けることで、感染症のリスクを低減し、症状の悪化を防ぎます。

