βカロテンが不足すると現れる症状は?

厳密には「βカロテンそのものの欠乏症」はありません。βカロテンは体内でビタミンAに変換されるため、実際には ビタミンA不足が続くことで、さまざまな不調につながる可能性があると考えられています。
視覚に関わる症状(夜盲症・眼球結膜乾燥症・角膜乾燥症)
ビタミンAは、暗い場所での視覚を支えるロドプシンの材料となるほか、目の粘膜や涙の質を保つ働きがあります。不足すると、暗い場所で見えにくい「夜盲症」、涙の減少による「眼球結膜乾燥症(ドライアイ)」、さらに不足が進むと角膜が乾燥して白く濁る「角膜乾燥症」などが起こる可能性があります。これらはビタミンA不足の典型的なサインであり、早めの対策が大切です。
皮膚・粘膜のトラブル(上皮の角質化)
ビタミンAは皮膚や粘膜の細胞を正常に保つために不可欠です。不足すると細胞の再生がうまく行われず、皮膚が乾燥してザラつきやすくなったり、上皮が厚く硬くなる「角質化」が起こりやすくなります。また、口や鼻、喉の粘膜も乾燥し、炎症を起こしやすくなることがあります。肌荒れが続く場合には、ビタミンA不足が背景にある場合も考えられます。
成長や免疫機能への影響(発育障害・免疫力低下)
ビタミンAは成長期の骨や細胞の発達に欠かせない栄養素です。不足が続くと、特に子どもでは発育が遅れる「発育障害」が現れることがあります。また、免疫細胞の働きを支えるため、不足すると風邪をひきやすい、感染症にかかりやすいといった「免疫力の低下」につながることも知られています。偏食がある場合や、野菜・果物の摂取が少ない方は注意が必要です。
βカロテンを過剰摂取すると現れる症状は?

βカロテンを野菜や果物など食品からとっても過剰症を生じるまで変換されることはありませんが、サプリメントなどの極端な過剰摂取や長期服用は過剰症につながる場合があります。
柑皮症
みかんの食べ過ぎで皮膚が黄色くなります。みかんに含まれるβカロテンの色素が皮膚の角質層に沈着することが原因です。特に手のひらや足の裏に現れますが、この状態は健康に害はないとされています。みかんやカロテンを多く含む食品・飲料の摂取を控えれば数週間~数か月かけて徐々に元に戻ります。また、脂質異常症などの体質が関連していることがあるため、気になる場合は医師や専門家に相談しましょう。
脂肪肝・肝疾患
βカロテンは通常の食品から摂取する量であれば安全性が高く、必要に応じてビタミンAに変換され、余剰分は肝臓や脂肪組織に一時的に蓄えられます。しかし、サプリメントによる高用量のβカロテンを長期間摂取した場合、体内でβカロテンが酸化されやすくなり、これが肝臓の炎症に影響する可能性が指摘されています。
特に、動物実験では、高脂肪・高ショ糖食によってすでに炎症が起きている肝臓に対して、酸化したβカロテンがその炎症反応をさらに促進したとの報告があります。肝臓への炎症性細胞の浸潤や炎症性サイトカインの増加、線維化(肝硬変の前段階)に関わる遺伝子の活性化などがみられ、脂肪肝の悪化につながる可能性が示されました。
このような影響は、食品からの摂取では起こりにくく、あくまで高用量のサプリメント摂取が長期間続いた場合に懸念されるものと考えられています。特に、高脂肪食・肥満・飲酒習慣など、肝臓に負担がかかっている状態では、酸化ストレスが増えやすいため注意が必要です。
肺がんなどのリスク
βカロテンの抗酸化作用で活性酸素による細胞遺伝子がダメージを受けるのを防ぐ効果があり、一部のがんを予防する効果があるといわれています。
しかし、βカロテンのサプリメントを高用量(20~30㎎/日)摂取した、喫煙者または喫煙していた人、アスベストを扱う労働歴のある人で、肺がんや胃がん、死亡リスクを高める可能性があることを発見したとの研究報告があります。

