キム・ドンジュン×チェ・スジョンが韓国大河ドラマで熱演、それぞれの魅力と現場秘話に迫る<高麗契丹戦争>

キム・ドンジュン×チェ・スジョンが韓国大河ドラマで熱演、それぞれの魅力と現場秘話に迫る<高麗契丹戦争>

「高麗契丹戦争」で第8代高麗王・顕宗を演じるキム・ドンジュン
「高麗契丹戦争」で第8代高麗王・顕宗を演じるキム・ドンジュン / Licensed by KBS Media Ltd. (C) 2023 KBS. All rights reserved

12月1日より衛星劇場にて放送開始された韓国の大河ドラマ「高麗契丹戦争」(※12月7日(日)再放送)。本作は、2023年の「KBS演技大賞」で大賞を含む7冠に輝いた、数々の苦難を乗り越えて高麗に平和をもたらした第8代王・顕宗と、彼の政治の師でもあるカン・ガムチャン将軍を中心に、契丹の侵攻にさらされた激動の高麗時代を描く大型本格時代劇。この記事では、顕宗を演じたキム・ドンジュンとカン・ガムチャンを演じたチェ・スジョンについて解説する。

■跡継ぎ問題で幼少期に城を追われた顕宗

顕宗(キム・ドンジュン)は、第6代高句麗王・太祖大王の孫だが、自分の息子を王にしたい叔母の千秋太后に疎まれて、幼い頃に強制的に出家させられた。本来ならば王になる身分なのに、危険を避けて寺に隠れていなければならない哀れな状況を受け入れられない顕宗は、寺の住職に反抗的な態度を取ったり、制止を聞かずにたびたび寺を抜け出したりして、住職を悩ませている。

執拗に命を狙う叔母に「昔は優しかったのに…」と涙を流す顕宗だったが、いつかは自分が次代の王になるのだと信じて、プライドを失わず日々を耐えていた。そんなある日、叔母は、尚宮に毒入りの食事を持たせて寺に向かわせ、危機を察知した住職は彼を床下にかくまうが、顕宗は、自分が出て行かない限り僧侶たちが傷つけられていくのを見て、危険を顧みずに姿を現わし、最善を尽くして僧侶たちを助けた。

この一件から、顕宗は自分を憐れむのをやめ、毅然とした人物に変わっていく。また、自分を殺そうとした尚宮や兵士たちを生かそうとするなど、後に聖君に成長する片鱗も見せた。

何とか城に戻り、19歳で王に即位した顕宗だったが、幼い頃から寺で暮らし、王になる教育を受けていない彼は、政治や周辺状況に未熟で、頼りない姿を見せた。だが、将軍のカン・ガムチャンらの助言を受けながら、次第に自主的で強い君主に成長し始める。
叔母・千秋大后に城を追われ、寺で隠れるように暮らす顕宗(キム・ドンジュン)
叔母・千秋大后に城を追われ、寺で隠れるように暮らす顕宗(キム・ドンジュン) / Licensed by KBS Media Ltd. (C) 2023 KBS. All rights reserved


■ボーイズグループのメンバーでもあるキム・ドンジュン

顕宗を演じたキム・ドンジュンは、ボーイズグループ・ZE:A(ゼア)のメンバーとして2010年にデビューし、日本でもCD発売やコンサートツアー、TV番組にレギュラー出演…と活動した。グループには、俳優として活躍中のイム・シワンやパク・ヒョンシク、バラエティーで存在感を放つファン・グァンヒなどが居る。現在、ZE:Aは活動休止中で、キム・ドンジュンは俳優としての活動が中心だが、歌唱力にも定評があり、「不朽の名曲」(KBS)での優勝や「覆面歌王」(MBC)への出演などで、実力を披露している他、ミュージカルにも出演している。

学生時代、器械体操選手として活躍していた彼は運動神経も抜群で、100m走の記録は12秒序盤。「アイドルスター陸上選手権大会」などの運動系の番組でも頭角を表し、“体育ドル”とも呼ばれ、鍛え上げた肉体を「Men’s Health」というフィットネス雑誌の表紙で披露したこともある。

また、幼い頃から女優のハン・ガイン(「太陽を抱く月」など)に瓜二つと言われており、2024年に彼女のYouTubeチャンネルで遂に初対面。実際に会った途端、お互いに「鏡の前に居るみたい」「失われた実のきょうだいを見つけた」と驚くほど似ていて、遺伝子検査まで受けたほどだった。当然、全くの他人だ。
12月11日(木) 朝4:15より放送の「韓流スタージャックS ドンジュン(ZE:A)」より
12月11日(木) 朝4:15より放送の「韓流スタージャックS ドンジュン(ZE:A)」より / (C)衛星劇場


■除隊後初の作品、初の本格時代劇出演

そんなキム・ドンジュンが除隊後の作品として選んだのが「高麗契丹戦争」だ。本格時代劇はこれが初の出演となる。オファーを受けた時、高麗時代に詳しくなかった彼は、顕宗について調べ、「こんなに聖君なのに、知らなかった…」と申し訳ない気持ちになり、自分が演じてもいいのか悩んだそう。だが、監督の「一度、一緒にやってみよう。足りない部分は先輩たちと話しながら一緒に埋めてみよう」との言葉と、出演する先輩俳優の顔ぶれを見て、「この方々と一緒なら、やれる」と感じて出演を決めた。

「顕宗は、悩みや考えが多いという点が自分と似ている」というキム・ドンジュン。「顕宗は、 徐々に聖君になっていく過程で試行錯誤がありますよね。僕もその過程を肌で感じて経験したので、たくさん悩まざるを得ませんでした」と振り返り、「幸い、現場に一緒に悩み、解決策を見つけてくれる道しるべのような多くの先輩方がいらっしゃった」と、“本格時代劇の主役”という大役にプレッシャーを感じていた彼にとても配慮してくれた、と感謝した。彼はそんなプレッシャーを役に投影し、緊張して鋭い顕宗の姿を見せることができたようだ。

また、顕宗を演じながら胸の中に沸き上がる熱さを感じたそうで、役柄の成長と共に自身も成長でき、「多くを学んだ」と振り返っている。また、発声も未熟な序盤から聖君になっていくにつれて変える工夫をしたとのこと。そうした熱演が「KBS演技大賞」での「最優秀賞」受賞に繋がった。
「高麗契丹戦争」より
「高麗契丹戦争」より / Licensed by KBS Media Ltd. (C) 2023 KBS. All rights reserved


顕宗の政治の師・カン・ガムチャンを演じるチェ・スジョン
顕宗の政治の師・カン・ガムチャンを演じるチェ・スジョン / Licensed by KBS Media Ltd. (C) 2023 KBS. All rights reserved

■現場のムードメーカーだったチェ・スジョン

撮影は長期間で過酷だったが、現場の雰囲気がとても良く、重厚な作品だったが、笑いが絶えず、現場に行くのが面白かったそう。そんな良い雰囲気の中心に居たのが、カン・ガムチャン役のチェ・スジョンだ。「先輩のおかげで本当に楽しくて、現場に行くのが面白かった」と、キム・ドンジュンは語っている。

カン・ガムチャンは、未熟だった顕宗の政治の師となる将軍。非常に優れた資質があるが、処世術に全く気を使わず、遠慮の無い毒舌家で変わり者。その為、長らく出世できず、地方の閑職を転々するハメになった。空気を読まずに自分の信念を語る反面、仕事の重要度を考慮して感情と信念も捨てて周りの状況を利用する面も併せ持つ人物だ。また、顕宗に政治や現状を教えることで、視聴者も理解を深められる“解説”的な役割も担っている。このような重厚な役柄だが、恐妻家でもあり、作品に笑いのスパイスを加えている。チェ・スジョンは、この演技で「KBS演技大賞」で4度目の大賞を受賞している。

■大河ドラマのアイコン

チェ・スジョンにとって、本作は約10年ぶり、4度目の大河ドラマ出演となる。前作の大河ドラマ「大王の夢」(2012)の撮影時、乗っていた馬が転倒し大ケガを負い、満身創痍で撮影に臨み、大変な思いをした為に、「もう時代劇はやめよう」と考えていたが、「高麗契丹戦争」の台本を読んで「これは私でなければ」と思い、出演を決心した。

現在は“大河ドラマのアイコン”と言われているが、スタートは“青春スター”。女子高生の家庭教師のアルバイトをしていた時、たまたまその生徒の父親がKBSテレビの芸能局長で、彼の容姿に魅かれてスカウトされ、1987年に「愛が花咲く木」で俳優デビューした。

この作品では、物語の序盤は大きな役ではなかったが、次第に存在感を表し、後半では中心人物の1人となり、“青春スター”として名を馳せた。

その後も、ペ・ヨンジュンやチェ・ジウなどと共演し、最高視聴率65.8%を記録した「初恋」(1996)での出演、「野望の伝説」(1998)で「KBS演技大賞」において生涯初の大賞を受賞するなど活躍を続けたが、転機となったのは、大河ドラマ「太祖王建」(2000)での主演だ。全200話という超大作の主演となった彼は、当時「青春スターが時代劇?」「チェ・スジョンが王建?全然合わない」などと言われたが、そんな否定的な意見を見事に跳ね返す演技で、平均視聴率37.3%、最高視聴率60.2%という大ヒット作となり、自身も再び「KBS演技大賞」で大賞を受賞した。

これがきっかけとなり、その後は時代劇専門俳優となり、「太陽人イ・ジェマ」(2002)、「海神」(2004)、「大祚榮」(2006)と、次々とKBSの時代劇で主演を務めた。時代劇の時は国語辞典を持ち歩き、現代ではあまり区別されない長短音を逐一チェックしながら撮影に臨み、辞書に無い単語は時代劇専門の先輩俳優たちに直接尋ねているそうだ。

もちろん現代のドラマにも出演を続け、「たった一人の私の味方」(2017)では、元・殺人犯 で正体を隠し、娘の力になる父親を好演し、最高視聴率49.4%を記録し、“視聴率の帝王”の健在ぶりを見せつけた。
12月7日(日) 昼5:45(前編)、夜9:45(後編)放送の「韓流スタージャックS チェ・スジョン」より
12月7日(日) 昼5:45(前編)、夜9:45(後編)放送の「韓流スタージャックS チェ・スジョン」より / (C)衛星劇場


■素顔は、明るく穏やかでトーク上手

シリアスな役が多いチェ・スジョンだが、実際の彼は明るく穏やかな人柄。そんなキャラクターと軽快なトークで、数々のバラエティーでも活躍している。また、運動神経も良く、長年、芸能人サッカーの一員として活躍し、2002年日韓ワールドカップではKBSの解説委員を務めたこともある。普段から運動を欠かさないことが功を奏したのか、身体年齢が実際の年齢より25歳ほど若いと診断されたこともある。若々しいルックスからは想像できないが現在62歳。彼の年齢を知らない年下の共演者にタメ口で話し、相手を憤慨させたことも(※韓国では年齢の上下関係に厳しく、年上に対してタメ口で話すなど、もってのほか)。その相手は事実を知って、怒ったことを平謝りしたそうだ。

また、妻の女優・ハ・ヒラとは芸能界でも屈指のおしどり夫婦として有名。記念日には毎回趣向を凝らしたプレゼントをし、「妻のラブシーンは見られない」と相手役に嫉妬するほど。一度、記念日に撮影の為、海外に居てプレゼントが贈れなかった彼は、友人に「妻に読んでほしい」と手紙を預けたが、その友人は、あまりにも愛が溢れまくった文面が恥ずかしくて、途中で読めなくなった…というエピソードも。また、新婚の頃に買った靴とネクタイを30年経った今も愛用し、肌着もゴムだけ取り替えて15年間着用するほどの節約家だが、妻に対してはいくらでも金を使う、と出演したトーク番組で語り、MCを驚かせた。

■「チェ・スジョン先輩は恩人」

このように明るく、魅力に溢れ、俳優としても一流のチェ・スジョンと共演することは、キム・ドンジュンにとって念願だったようで、今作の出演動機の1つとして、「先輩と一緒に学びたい気持ちが一番大きかった」と語っている。結果、大きな学びとなり、「先輩は僕にとって本当に恩人」と感謝している。

「先輩の姿勢を見て、学び、真似しながら身につけなければならないと思った。撮影時、いくつもの演技プランを用意して“これはどうでしょう?”“どんな姿がもっと顕宗らしいでしょうか?”などを質問すると、先輩が“ここは良いが、他の部分ではもう少し力を入れなさい”と、言い回しの高低についても話してくださった」とキム・ドンジュンは振り返り、先述のように時代劇のセリフの発音を重要視しているチェ・スジョンから、「それだけ悟れば、準備するのが一層楽になる」とアドバイスも受けたそう。「本当に演技以上の助けをもらった。顕宗の政治的師匠がカン・ガムチャンだったとすれば、キム・ドンジュンにとってチェ・スジョン先輩の存在は父親のようだった」と、彼の“時代劇俳優”としての成長を大きく助けたようだ。

このような関係性が作品にも表れ、「KBS演技大賞」で“ベストカップル賞”も受賞している。
顕宗(キム・ドンジュン)は聖君となっていく
顕宗(キム・ドンジュン)は聖君となっていく / Licensed by KBS Media Ltd. (C) 2023 KBS. All rights reserved


■韓国ドラマ初のCG技術を採用

「高麗契丹戦争」では、モンゴル現地ロケも行われ、韓国ドラマ史上初の“バーチャルプロダクション”という仮想撮影技法を採用した作品となっている。キム・ドンジュンとチェ・スジョンの関係性も感じながら、作品を楽しんでほしい。

また、本作放送に関連して「韓流スタージャックS チェ・スジョン前編・後編」、「韓流スタージャックS ドンジュン(ZE:A)前編・後編」、「韓流スタージャックS ペク・ソンヒョン前編・後編」も放送される。

◆文=鳥居美保
「高麗契丹戦争」は、衛星劇場にて放送中。
「高麗契丹戦争」は、衛星劇場にて放送中。 / Licensed by KBS Media Ltd. (C) 2023 KBS. All rights reserved



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