丁寧にお断りをしたことが始まり
突然の誘いだった。思わず、胸が詰まる。加藤さんは決して悪い人ではないけれど…。私には今、恋愛をする余裕なんてない。
「ごめんなさい、加藤さん。お気持ちはうれしいんです。でも、今は恋愛する余裕がなくて。子どもを一番に考えたいので…」
努めて冷静に、丁寧に断った。彼を傷つけたくなかったし、これからも職場の同僚として良好な関係を続けたかったからだ。加藤さんは、一瞬、顔から表情を消した。その無表情さが、私には少し怖かった。
「……そっか。じゃあしょうがないね」
そう言って、彼はサッと立ち去った。その背中が、なんだかいつもより冷たく、そして少し、怒っているように見えた。でも私は、精一杯配慮して断ったつもりだから、大丈夫だと自分に言い聞かせていた。
この「精一杯の大人の対応」が、地獄の始まりになるとは、想像もしていなかったのだ―――。
あとがき:優しい拒否が招いた影
シングルマザーとして、香苗はまず「子どもたちの生活を守る」ことを最優先にしています。加藤さんの誘いを断ったのは、彼女にとって当然の選択でした。しかし、この物語は「優しさ」や「配慮」が、時に悪意を持つ人間に通じず、むしろ逆上を招く現実を描き出します。
彼の突然の無表情は、拒絶された男性のプライドが傷つき、態度が一変する予兆なのでしょうか。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

