
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、2025年8月3日にX(旧Twitter)に投稿された『巨大な虫が世界を喰い尽くす話』をピックアップ。
本作は『青蟲の夢(作:中村汚濁)』というタイトルで「月刊!スピリッツ」に掲載された読み切り漫画。作者の中村汚濁さんがX(旧Twitter)に本作を投稿されたところ、9.000件を超える「いいね」と共に多くの反響コメントが寄せられた。本記事では作者の中村汚濁さんにインタビューを行い、本作について語ってもらった。
■少女たちが作りだす二人だけの楽園…

学校でいじめを受け続けるナギ。誰一人として味方がいないなかで、唯一マユミだけがナギに寄り添ってくれる存在だ。二人は辛い現実から目を背けるように、毎晩同じ夢を見る…。夢の中では巨大な青虫が世界のすべてを喰いつくそうとする。青虫がすべてを喰いつくしたとき、そこはナギとマユミしか存在しない二人だけの楽園となるのだ…。
しかし次第に二人はすれ違っていき、理想の楽園は脆く遠ざかっていくように思えた…。少女たちの危うさ、繊細さを描く本作には「いつ読んでも最高」「素晴らしい作品」「本当に良い作品」「めちゃめちゃめちゃめちゃ好き」など多くの反響が寄せられている。
■作者・中村汚濁さん「ナギの精神的変化に最も拘った」

――『青蟲の夢』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
本作は「月刊スピリッツ」で掲載させて頂いた短編なのですが、『青蟲の夢』を描くまでは何年も企画が通らず苦難の日々を過ごしていました。
そんな時、現在連載中の『セイ少女黙示録 ですぺあ』の担当編集さんにお声がけ頂き、「取り敢えず3ヶ月で読み切りを載せよう」と言われて大急ぎで情動のままに描いた読み切りが『青蟲の夢』です。
本作を通して、担当編集の方から何度もアドバイスを受けた「女の子を全力で可愛く描く」というシンプル且つ当然すぎる要素の大事さを痛いほど学ばせて頂きました。
『青蟲の夢』は、僕にとって人生の転機になった思い入れのある大切な作品です。
――“少女”であるが故の繊細さと危うさが見事に同居する作品ですが、心理描写でこだわったことがあればお教えください。
僕が描きたいテーマはいつも同じで、「少女」と「虚構」をベースにこの物語も構築しました。
『青蟲の夢』では「アオムシ」という巨大な虫を、現実には干渉しない心理的危機のメタファーとして描きました。
これが「失ってしまった原体験」なのか「終末的なフィクション」なのか、はたまたそれ以外なのかは解釈次第ですが、そういった心理的危機への受容と本来向き合わなければならない現実の危機への帰結を本作で表現したいと思いました。
なので、真っ白になった精神世界でのナギの精神的変化は最も拘ったポイントです。
――本作には多くの反響が寄せられています。多くの反響をどのように感じていらっしゃいますか?
掲載からしばらく経った今、このような反響を頂けたことに感謝しかないです。
読者の方々から届いた多くの感想に励まされました。
更にたくさんの方に読んで頂きたいと常々思っておりますので、「いつか短編集を出せたら良いな〜」と願っています。
――現在、「ビッグコミックスペリオール」で連載中の『セイ少女黙示録 ですぺあ』についても、お話しできる範囲でぜひお教えください。
現在連載中の『セイ少女黙示録 ですぺあ』は、『青蟲の夢』や他の短編が掛け合わさった形で生まれた作品で、学生時代に構想していた物語が原型になっています。
当時とんでもなく支離滅裂な内容でバトル物ですらない耽美系スプラッターだった作品に、いままでの短編の要素とバトル物を悪魔合体させて本作が誕生しました。
『セイ少女黙示録ですぺあ』はそれぞれのキャラの関係性や個性を第一に拘って制作した作品です。
ステレオタイプ化しやすい「厨二病」の本質と豊かさが詰まったキャラクターたちが、現実世界の閉塞感と虚構世界の解放感の間で揺れる心理を、最後まで描き続けられたらと思っています。
――最後に作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
『青蟲の夢』、その他の短編や連載作『セイ少女黙示録 ですぺあ』をお読み頂いている皆様、いつも温かい応援を本当にありがとうございます。
お寄せいただく一つひとつの声に、いつも心を救われています。
頂いた期待に少しでも応えられるようこれからも全力で活動してまいりますので、今後の連載も見守って貰えたら幸いです。

