面会室で突きつけられた“答え”
彼の目はうつろで、私の姿を見ると、視線を落とし、
「…ごめん」
と、ぼそりとつぶやきました。私は瞬時に、文也が本当に痴漢をしたのだと悟りました。私は電車の中で、文也のいろいろな姿を想像していたのです。「痴漢などしていない」と叫ぶ姿、泣きながら「手が当たってしまっただけなのに」と訴える姿…。実際にはそのどれでもなく、痴漢が事実である、と私に告げるだけの姿。
「嘘…。うそ…。うそ!!」
思わず叫んでいました。文也はうつむき、膝に置いた手を固く握っているだけでした。その様子は、私をさらに混乱させました。泣けばいいのか、怒ればいいのか、事情を聞けばいいのかもわかりません。
文也はうつむいて所在なさげに座っている…。それだけで、おかしくなりそうでした。
帰宅するとすぐに、佳文にごはんを作りました。おむつも替えました。午後にする予定だった家事を終わらせ、ソファーに倒れこむようにして座りました。電話を受けてからやっと座ることができ、深く息を吸いました。その瞬間、涙があふれて止まりませんでした。
どうしよう…、それより、なんで文也が痴漢を…?
そうだ、会社、どうしよう…?なんて言えば…。あっ、お義母さんたちになんて言えば…。
私ははじめて恐怖で体がガタガタと震えるという経験をしました。
私、どうしたらいいの…?―――
あとがき:おだやかな日々は、音もなく崩れ去った
佳奈さんが受け取った現実は、怒りよりも先に「理解が追いつかない衝撃」でした。優しい夫が加害者になるという事実は、これまで積み上げてきた日常を一瞬で壊してしまいます。動揺しながらも家事や育児を続ける姿は、崩れそうな心を必死で支える母としての強さにも見えます。ここから佳奈さんの本当の闘いが始まります。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: 光永絵里
(配信元: ママリ)

