3:「プチ喪失感」は必ず訪れるものと知る
捨てるという行為には、必ず大なり小なりの喪失感を伴います。こう言うとなにか大げさなようにも感じますが、私たちは大人になるほど、得るものよりも失うものが増えていき、無意識のうちにそれがものへの執着にもつながっているのではないでしょうか。失うものへの恐れは、身近な友人や家族だけでなく、若い青春時代との決別、過去の栄光など様々な理由があり、そこに付随した愛着のあるモノがなくなると、それらの大事なものまで欠けてしまうような気分になります。もちろん単にスペースが空くと生まれる、あのガランとした寂しさを感じたくないという方もいらっしゃいますね。
そうした、失うことへの寂しさに気持ちがフォーカスされると、どうしても捨てるという行為を前向きに感じられなくなってしまうのです。
ですが、私たちは何かを失うことを止められはしません。そして、それは誰の上にも平等に訪れるので、喪失感をなくすことはなかなかに難しい。あまり“もの”に執着をしない筆者でも、ものを捨てる瞬間はチクリと痛い喪失感を覚えます。この時に、「やっぱり捨てなければ良かった!」と、捨てた自分を責めてしまうと、この先も何かを処分することに罪悪感が生まれてしまいます。捨てるときは覚悟を決めて、その喪失感は必ず訪れるものだと受け入れてみるのはいかがでしょうか。
手放すことを後悔しないためには?
思い出の服が捨てられないのは、あとあとになって捨てたことを後悔したくないから。捨てるという行為を「失った」と捉えると、いつどんなものを捨てても後悔しやすくなるので、まずは考え方から切り替えてみましょう。本当の整理整頓とは、「新しい私に変化」するためのもの。今の自分にとって何が必要で、不必要なのか。物理的に服を整理すると、心の整理にもつながっていくという心もちで服の整理整頓に臨んでみてくださいね。
<文&イラスト/角佑宇子>
【角 佑宇子】
(すみゆうこ)ファッションライター・スタイリスト。スタイリストアシスタントを経て2012年に独立。過去のオシャレ失敗経験を活かし、日常で使える、ちょっとタメになる情報を配信中。2023年9月、NHK『あさイチ』に出演。インスタグラムは@sumi.1105

