「誕生日を迎えたら1歳、年をとる」
多くの人が「当たり前」と思っていることですが、実は法律上の取り扱いは少し違うことをご存じでしょうか。最近、SNSでも話題になりましたが、今回はそんな法律についてご紹介したいと思います。
●明治時代に生まれた法律
日本では、年齢の数え方を定める「年齢計算ニ関スル法律(明治35年法律第50号)」という、1902年に作られた非常に古い法律が、いまも有効です。この法律は、とてもシンプルで、たった1文だけです。
「年齢は出生の日より之を起算す」
法律としてはこれしか書いていませんが、実務では民法の「期間の計算」の規定(民法143条)とあわせて読むことで、次のように解釈されています。
たとえば4月1日に生まれた人の場合、法律上は 3月31日24時(4月1日0時) に1歳年を取ることになります。つまり、「誕生日当日に1歳年を取る」というのが一般的な感覚ですが、法律の世界では、「誕生日"前日"の終わりに1歳年を取る」とより厳密に扱われています。
このルールは、選挙権年齢、飲酒・喫煙の年齢制限、運転免許、成人年齢など、さまざまな場面で使われています。
●4月1日生まれが早生まれになる理由
有名な例として、「4月1日生まれは早生まれ扱いになる」というものがあります。
これは、学校教育法17条1項が「保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、(中略)これを小学校(中略)に就学させる義務を負う」と定めていることによります。
「年齢ニ関スル法律1条」によれば、4月1日生まれの子は、3月31日が終わる瞬間である24時に6歳になります。
そうすると、法律的には、ギリギリ3月31日中に6歳になったという扱いになるわけです。 ですので、学年の始まる4月1日は、学校教育法17条1項にいう「満六歳に達した日の翌日」に該当することになり、法律上は3月以前に生まれた子どもたちと同じ扱いになります。これが、4月1日生まれが早生まれになる理由です。

