祖母宅を訪問後「箪笥の3万を盗んだだろ」と祖母からあらぬ疑惑をかけられた美鈴。父に祖母の認知症の可能性を伝えますが、何やら不穏な様子で…。
現実を認めない父の対応
父親に、祖母が認知症になりかけている可能性について話したが、なかなか取り合ってもらえない。なんとか穏やかに聞いてほしくて、つとめて冷静に話をしてみる。
「おばあちゃんがそうって話じゃないけど、物盗られ妄想っていう症状があるんだよ。おばあちゃんも歳は歳だし、検査してみたらと思って…」
友人たちの間でも、自分の祖父母や曾祖父母が認知症になったという話題はよく出る。認知力の低下が引き起こすトラブル。テレビやニュースでもよく取り扱われる題材だ。しかし、この可能性は父にとってショックなのか、受け止めてもらえない。興奮した様子で否定された。
「お前、ばあちゃんの話を妄想だっていうのか?とんでもない孫だな!」
「そんなことないよ。私はただ…」
「いいからお前はさっさと謝って、3万円を返しなさい!正直に言えばいいんだから!」
そこで一方的に通話を切られてしまう。現実を見ず、私を疑うばかりの父に、心底がっかりした。
母に相談をした
困った私はすぐに母に相談することに。ファミレスで母と落ち合い、詳細を説明した。
「そう、お父さんにも困ったものね」
ため息をついた母は、私を信じてくれたようだ。母は昔から、意地悪な祖母の被害者だった。きつい口調や、陰湿な嫌がらせ。幼い私は母の味方をしたけれど、父は祖母の言い分を鵜呑みにして、母ばかりを責めることが多かった。
「お父さんが私を疑うのはもういいけど、おばあちゃんが心配。本当に認知症ならやばいよ?」
「美鈴は優しいわね」
ふんわりと笑った母は長年、祖母と父を上手にいなしている。
「2人とうまく話をしておくわ」と言う母との昼食を済ませると、その日は別れた。

