以前から家族ぐるみでの交流があったママ友・穂乃花と夫の不倫疑惑が浮上します。しかし、身重のため朱里は動けません。産休に入り、出産を控えます。
2人目の出産、不安の火種は心の隅に
勇と穂乃花さんの不倫疑惑は晴れないまま、私は産休に入る。そして無事に出産した赤ちゃんは男の子。トオルと名づけた。
「朱里…出産お疲れ様!また一緒に頑張っていこうな」
「うん」
トオルを抱き、2人目の誕生に喜ぶ勇。入院時期もナナミの面倒をしっかりみてくれたし、こんないい父親が不倫などしているはずがない。そう思えた私は、以前持っていた疑惑を心の隅に追いやった。
退院すると待っていたのは、もちろん新生児のお世話だ。夜も眠れない日々が続き、私の体は満身創痍に近い。ナナミの面倒をみるのはもっぱら、勇の役割になっていた。今日も出勤前に園へ送るため、彼は玄関に立つ。
「じゃあ、ナナミを送ってくよ。それと、今日も帰りが遅いと思う」
「わかった。気をつけて行ってらっしゃい」
勇に手を引かれ、ナナミは保育園へ向かう。以前のように穏やかな日々。しかし最近、勇の仕事は忙しくなったのか残業が多くなる。また泊まりがけの出張も増え「夫の会社のエンジニアって、遠方まで行く仕事だったっけ?」と首を傾げた。忘れかけた疑惑の火種が、ぽっと灯る。それはある日、動かしがたい証拠をもって大きく燃え始めた。
夫の部屋を掃除すると…
平日の昼、トオルを寝かしつけた私は久しぶりに部屋を掃除しようと重い腰をあげた。夫婦の部屋は別々で、勇の部屋にはシステムエンジニアらしく大きなパソコンが2台、ゲーミングチェアの前に並んでいる。普段なら部屋掃除は各自でしているが、いつも子育てを協力してくれる彼のため、お礼の気持ちで中に入り掃除機をかけた。
床だけならいいだろう。そう考えてかけていると、肘がパソコンのマウスを動かしてしまいパソコン画面がパッとついた。どうやらスリープモードになっていたようだ。
「あ、ついちゃった。……え?」
光る液晶画面に映し出されたのは、メッセージのやり取りだった。チャットツールを使って交わされる会話。日時は昨夜、相手の表示名は「ほの」。
ほの:レストラン情報ありがと!フレンチ久しぶり。明日楽しみにしてるね
勇:俺も!たくさん愛しあおうな♡
ほの:勇くんたらそればっかり!いやらしいんだ~
勇:穂乃花の前だけだよ

