勝川春章《三芝居役者絵本》, Public domain, via Wikimedia Commons.
江戸時代中期の浮世絵師、勝川春章とは
勝川春章《三芝居役者絵本》, Public domain, via Wikimedia Commons.
勝川春章は江戸時代中期に活動した浮世絵師で、その生涯を通して、役者絵や美人画といった分野で人気を博しました。
本名は藤原周貞といい、絵師としてはまず「勝川」の姓を名乗って一家を興し、のちに「春章」と号しました。彼は単なる人気絵師に留まらず、浮世絵師を志す多くの若者を育てた教育者でもあり、勝川派という一大流派を築き上げた人物です。
2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~』では、主人公である版元・蔦屋重三郎の周辺人物として登場しています。
似顔表現を導入した役者絵で人気を獲得
勝川春章の功績は、役者絵の表現を一変させた点にあります。それまでの役者絵は、個々の役者というよりも、その役柄を形式的に表現するものであり、顔の造形も類型化されていました。しかし、春章は役者一人ひとりの表情の癖や身体的な特徴を細かく捉え、「似顔絵」として描き出したのです。
これにより役者個人の魅力までもが錦絵に表されるようになり、特に人気役者であった中村仲蔵などをリアルに描いた作品は、芝居好きの人々から絶大な支持を得ました。
