心がざわざわして落ち着かないのを治すには?メディカルドック監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。

監修医師:
草山 好以(医師)
2011年4月 KDDI株式会社入社
2016年7月 KDDI株式会社退社
2016年 9月 東海大学医学部医学科社会人編入学
2022年 東海大学医学部医学科卒業
2022年 国際医療福祉大学熱海病院
2024年 東海大学医学部付属病院
2024年 産業医、心療内科クリニック勤務
「心がざわざわして落ち着かない」症状で考えられる病気と対処法
心がざわざわして落ち着かないという感覚は、日常的なストレスから来る一過性のものもあれば、心身の不調や病気が原因のこともあります。多忙な現代社会では珍しいことではなく、幅広い年齢層で相談が増えている症状です。
この記事では主な原因、すぐにできる対処法、受診の目安、どの科を受診すべきかなどを解説します。「心がざわざわしてつらい」「落ち着かない状態が続く」という方は、参考にしてください。
心がざわざわして落ち着かない症状で考えられる原因と治し方
心がざわざわして落ち着かない、胸がドキドキする、頭が回らない…。こうした訴えは、軽い不安感から始まり、放っておくと悪化することがあります。背景には自律神経のバランスの乱れがあり、ストレスや生活習慣の変化などがその原因になります。仕事や家庭、人間関係でのストレスが蓄積し、交感神経が過剰に優位になると、心拍数の増加、呼吸の浅さ、不安感が強まります。また、普段から「頑張りすぎる人」や「責任感が強い人」は、無意識に自分を追い込んでしまい、常に緊張している状況になっている事が多いです。対処法としては、まず深呼吸や腹式呼吸で意識的に呼吸を整えること。静かな場所で目を閉じ、5秒吸って5秒吐く呼吸を繰り返すだけでも、交感神経の過剰な働きを抑えられます。軽いストレッチやウォーキングなどの軽運動も、全身の緊張を緩めるのに役立ちます。しかし、こうした対処をしても「不安感が取れない」「生活に支障が出る」場合は、心療内科や精神科を受診してください。パニック障害、全般性不安障害、うつ病など、薬物療法や心理療法を含めた治療が必要な病気が背景にあることもあります。受診時は、いつからどんな症状が出たのか、きっかけはあったのか、日常生活への支障の程度などをメモしていくとスムーズに診察が進みます
心がざわざわして落ち着かず眠れない症状で考えられる原因と治し方
「夜になると心がざわざわして寝つけない」「布団に入ると逆に不安が増す」という相談は非常に多いです。これは日中に受けたストレスによって、交感神経が夜になっても優位なままになっていることが原因です。
寝る前に仕事のメールチェックをしたり、スマホでSNSや動画を見たりすると、脳は「まだ活動時間だ」と認識してしまい、入眠が難しくなります。また、将来への不安や人間関係の悩みが頭を離れず、ネガティブな思考になっている事も大きな要因です。対策としては、まず「夜の過ごし方」を意識的に変えましょう。寝る1時間前からは画面を避け、間接照明などで部屋を暗めにし、リラックスする音楽や読書をおすすめします。ぬるめのお風呂に入るのも効果的です。深部体温が下がるタイミングで眠気が訪れるため、入浴は就寝の1〜2時間前に済ませましょう。また、どうしても不安が強いときは「不安を書き出す」ことも有効です。紙に「不安に思っていること」「今できること」「できないこと」を整理すると、漠然とした不安が具体化され、落ち着きやすくなります。不眠が2週間以上続く場合や、日中も強い不安や落ち込みが続く場合は、睡眠障害やうつ病、不安障害の可能性もあります。心療内科で相談すると、薬物療法や認知行動療法など適切な治療が受けられます。
精神面以外で心がざわざわして落ち着かない症状で考えられる原因と治し方
「心がざわざわする」と感じる原因は、精神面だけに限りません。身体的な病気でも似た症状が現れます。たとえば甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)は、甲状腺ホルモンの過剰分泌により心拍数増加、手の震え、発汗、不安感を伴います。血液検査で診断可能で、内分泌内科での治療が必要です。また更年期障害も代表的です。特に女性は40代以降、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少で自律神経が乱れ、ほてり、のぼせ、動悸、不安感などが出やすくなります。婦人科でホルモン補充療法や漢方薬などの治療を行います。片頭痛の前兆として「胸がざわざわする」「落ち着かない」と訴える方もいます。こうした場合は神経内科や頭痛外来の受診が有効です。精神的なストレスを疑う前に、こうした身体的な疾患を除外することも重要です。自分で判断せず、まずは内科や婦人科など専門医に相談してください。
すぐに病院へ行くべき「心がざわざわして落ち着かない」に関する症状
多くの場合は深刻な疾患が隠れていないものの、次のような症状を伴う場合はすぐに医療機関を受診してください。
●強い胸の痛みや締めつけ感、冷汗(心筋梗塞など。循環器内科受診を推奨)
●呼吸困難や会話が困難(救急車を呼ぶべき場合も)
●意識障害、手足の麻痺、ろれつ障害(脳梗塞の可能性。脳神経内科・救急受診を推奨)
●強い希死念慮や自殺を考える状態(精神科・心療内科受診を強く推奨)
「何かおかしい」と感じた場合、早期受診をおすすめします。重篤な病気の初期サインを見逃さないことが、命を守ることにつながります。
受診・予防の目安となる「心がざわざわして落ち着かない」ときのセルフチェック法
心がざわざわする 落ち着かない以外に2週間以上の不眠や食欲不振がある場合
心がざわざわする 落ち着かない以外に涙もろくなる、突然怒りっぽくなるなど感情の起伏が激しい場合
心がざわざわする 落ち着かない以外に過去のトラウマや辛い出来事を繰り返し思い出して辛い場合
周囲の人から「最近様子がおかしい」「元気がない」と言われる場合
「どうしても消えたい」「いなくなりたい」といった希死念慮が生じる場合

