「NHKの取材には応じない」と決めた理由──サリン被害者が考える"声の届かない構造" 映画監督さかはらあつし

「NHKの取材には応じない」と決めた理由──サリン被害者が考える"声の届かない構造" 映画監督さかはらあつし

●「リクエストは一回で」という希望が叶えられず

一回のお願いは仕方がないとしても、複数回のお願いは「交渉」ではなく「暴力」である。私は以前から、精神的負担が大きいため、「取材上のお願いは、一度『ノー』と伝えたものは繰り返さないでほしい」と申し入れていた。

しかし、結果として、複数回の依頼が続く状況となったことがある。

たとえば「麻原彰晃こと松本智津夫の生家を訪ね、近隣住民にどのような人物であったか聞き込みをしてほしい」といった依頼である。

「さかはらさんを『そこまでする映画監督』として打ち出したかった」のだそうである。

取材班の意図は理解できる部分もあるが、近隣住民の心情を考えると私なら絶対しない。被害者であり、映画監督でもある人間に対して、もう少し慎重さが必要だったのではないかと思う。

●丁寧に説明したのに「取材が反映されない」

ある記者会見の数日前に取材依頼があり、若いディレクターは何も知らないこともあり、私はPTSDの症状が出る覚悟で2時間以上かけて丁寧に説明した。しかしその後、記者会見に姿を見せることはなく、報道はされなかった。

ディレクター本人の事情があった可能性は否定できないが、取材対象を、自分たちがあらかじめ用意したストーリーの「材料」としか見ていないのではないか──。そんな不安を拭えなかった。

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