美鈴はお年玉泥棒の濡れ衣を母に相談した後、母が立て替えた事実を知り腹を立てます。祖母の息子である父が動かないことに、納得いかない様子です。
父と直接話し合った
やっぱり母がお金を立て替えるのはおかしい。そう考えた私は、いざとなれば3万円をこちらから出す覚悟もして父と連絡を取った。たまたま父が実家に1人でいたので、そちらへ向かう。母がいない場所で、私と父は話し合った。
「今回の件、私は盗ってないし、お母さんが立て替えるのも変だよ。どうしても誰かが盗ったというなら、警察には連絡したの?」
「ばあちゃんが警察に言うことはないと言ってる。それに家は鍵かけてあったんだから、家庭内の問題だろ?」
「じゃあせめて、3万は私とお父さんも負担しよう?お母さんだけに払わせないで」
「もう済んだことなんだから。お前は口出しするなよ」
通報も嫌だ、自分が立て替えるのも嫌だと、父は何も譲らない。昔から頑固な人だった。ため息をつくと、私は懐から封筒を取り出した。
「これ、お母さんに渡しといて」
「何だこれは」
「3万円。お母さんが負担するの、やっぱりおかしいと思うから、渡しておいて」
うちの家計も余裕があるわけじゃないが、母1人に負わせるのも嫌で持ってきた。
「わかった。渡しておく」
恩着せがましく言った父の表情は、少しだけ笑っているように見えた…。
渡したお金を父がくすねた?
その後、信じがたい事件が起きる。母に「封筒は受け取った?」と確認のメッセージを送ったら「何のこと?」と返された。―――イヤな予感が胸をよぎる。父経由で立て替えてもらった3万を返したと伝えたら、母は電話をかけてきて、ひそひそとこう言った。
「最近お父さん、羽振りがいいの。やけに高いお酒を買ったり、飲み会に頻繁に行ったり。もしかしたら…」
「お金をくすねてる?」
「かもしれないわ」
あの父なら可能性はありそうだ。お金は母に直接渡せばよかったと後悔する。私は今回の事件の発端となった祖母に、父の話を告げ口しようと思った。お金に意地汚いのが大嫌いな祖母が叱ってくれると思って。しかし、隠されていた真実は、もっと耐えがたいものだったのだ―――。

