男性乳がんの治療方法
男性の乳がんは女性に比べてまれですが、治療法は男女ともに同じです。乳がんでは局所治療と全身治療を組み合わせて治療法を決めていきます。
局所治療
手術療法と放射線療法です。手術療法には乳房切除術と乳房部分切除があります。男性では、乳頭直下に腫瘍ができやすい点と女性に比べて乳腺組織が少ない点から、乳房切除術が選択されるケースが大半です。
放射線療法は、乳房部分切除術後に温存した乳房に照射します。乳房を全切除した場合もリンパ節への転移があると、鎖骨の上あたりや腋窩への照射が行われるでしょう。放射線療法では、肺に放射線があたるため肺炎などの副作用が出る場合があります。
発熱などで医療機関を受診する際には放射線療法のことを伝えるようにしてください。
全身治療
乳がんの完全切除が難しい場合や転移や再発で全身に広がっている場合には、全身治療が行われます。全身治療は化学療法とホルモン療法です。化学療法は、抗がん剤治療のことで術前化学療法と術後化学療法があります。
術前化学療法は、術前にがんを小さくできたり薬物の効果を確認できたりします。術後化学療法では、症状の緩和や再発リスクの低減が望めるでしょう。化学療法では、脱毛や吐き気、白血球の減少などの副作用が出ます。
薬や個人で副作用の程度は異なります。ホルモン療法は、男女でホルモンが作られる仕組みが違うため、女性の乳がんと治療の選択肢が異なる可能性があるでしょう。
男性乳がんの注意点
男性乳がんでは、次のような初期症状が現れます。
無痛性の腫瘤
乳頭からの出血
皮膚潰瘍
腋窩リンパ節の腫脹
症状は、女性の乳がんとおおきく異なるわけではありません。しかし、女性の乳がんと異なる点もあります。以下で、女性の乳がんとの違いや発見時に進行しているケースが多い理由を紹介します。
女性乳がんとの違い
女性の乳がんとは、発生部位や発生率、発症年齢などが違うでしょう。男性では、乳腺が女性よりも少ないため、腫瘤の多くは乳頭の直下で蝕知されやすいです。
女性は乳房の上外側にできやすいため、男女で乳がんの発生部位は異なります。また、男性の乳がんは全乳がんの1%程といわれており、大半が女性です。発症年齢も違い、女性は40〜60歳代で発症しますが、男性では70歳代で発症します。
発見時にはすでに進行しているケースが多い
認知の低さからセルフチェックをしている方の少なさなどが原因で、発見時には進行しているケースも少なくありません。
また、乳腺組織が少ないため早期から周囲の脂肪組織や皮膚に広がり転移しやすい点も、発見時に進行しているケースが多いことと関係しています。発見時に進行しているケースが多いのは、男性の乳がんへの認識不足が招いた結果です。

