ストレスが限界に達し、香苗は長男に声を荒げてしまい自己嫌悪に陥る。病院で軽度の抑うつと診断され、精神的に追い詰められる中でも、生活のため退職を選べない。そんな中、加藤から再度、業務外のドライブの誘いが届いて―――。
ストレスで家庭に悪影響が
「りゅうや、静かにして!ママ、今、頭が痛いの!」
思わず、声を荒げてしまった。長男・りゅうやは、急に怒鳴られたことに驚いて、目を丸くして立ちすくんでいる。その後ろでは、みづきが「うぇっ…」と泣き声を上げ始めた。
「ごめんね、ごめんね、ママ、疲れてるの。ごめん…」
りゅうやを抱きしめながら、私は嗚咽した。仕事のストレスは、とうとう家庭にまで悪影響を及ぼし始めていた。
仕事に行くのが怖い。加藤さんの顔を見るのが嫌だ。何を言われるか、次にどんな陰湿な手を使ってくるのか、その不安で朝起きるたびに胃がキリキリと痛む。
不安で押しつぶされそうになる
病院で診察を受けた結果、軽い抑うつ状態と診断された。今は、処方された精神薬を飲んでいる。だけど、薬を飲んでも、不安は消えない。職場でトイレに駆け込み、誰もいないことを確認して、涙が止まらなくなることが週に何度もあった。
―――どうして、私がこんなに苦しまなきゃいけないの?
頭の中で、その問いがぐるぐると回る。加藤さんの好意を断った私が悪いの?シングルマザーでいることが、こんなにもいけない?子どもたちのためにも、仕事を辞めるわけにはいかない。収入が減ることは即、生活の破綻につながるから。
「りゅうやと、みづきの生活を守らないと…」
養育費は受け取ってはいたが、正直に言って少ない。さまざまな手当てをうけても生活はぎりぎり。つらいからといって休職してしまえば、手当と少ない養育費だけでは、家賃さえ払えないだろう。
だけど、このままではいけないのも分かっていた。ご飯を作る気力も出ず、惣菜で済ませてしまう。心に余裕がないから、子どもたちへの口調も激しくなる。私自身がストレスで壊れたら、子どもたちを一番苦しめることになる。
そんな心の葛藤を抱えていた時、加藤さんは、さらに私を追い詰めるような行動に出た。

