怒りの本質は、「選べない」ことへの絶望?
しかし、現実はどうでしょうか。
総務省の労働力調査(2025年2月公表)によると、25~34歳女性の専業主婦割合は過去最少の23.4%(2003年は59.2%)。
物価は上がる一方、夫の給料は上がらない。共働き世帯が約7割を占める現在、多くの女性にとって「専業主婦」はもはや選択肢ではなく、経済的に許されない“贅沢”になってしまいました。
本当は家庭に入りたくても、生活のために働かざるを得ない。フルタイムで働き、帰宅後も家事や育児に追われる日々。
そんなギリギリの状態で、「男は『ご飯作って待ってるね』って言われたいんだって」と無邪気に言われたらどう感じるでしょうか。
「選べた時代の特権を、さも当然のように言わないでほしい」 「私だってそうしてあげたいけど、無理なんだよ」
今回の女性たちの怒りの正体は、時代遅れの価値観への反発ではなく、「選びたくても選べない現実」を無神経に突かれたことへの苛立ちと悲しみだったのでしょう。
令和の正解の「声かけ」は?
結局、男性が本当に求めていたのは「癒やし」や「労い」だったはずです。しかし、その表現が「専業主婦という選択肢があった時代のファンタジー」だったために、現代女性の地雷を踏んでしまったのかもしれません。
もし今、パートナーを労いたいなら、「ご飯作って待ってるね」ではなく、こう言うのが正解かもしれません。 「お疲れさま! 今日は疲れたから一緒にテイクアウト頼もうか?」
お互いに余裕がない時代だからこそ、役割を押し付け合うのではなく、その“なさ”を共有し合える関係こそが、最強のパートナーシップと言えるのではないでしょうか。
(足立むさし)

