レーシックで老眼対策は可能?遠くは見えても手元が見えないリスクとモノビジョン等の適応条件

レーシックで老眼対策は可能?遠くは見えても手元が見えないリスクとモノビジョン等の適応条件

レーシック手術は角膜を削って屈折異常を矯正する治療法ですが、老眼に対する効果には限界があります。通常のレーシックでは水晶体の調節力低下を改善できないため、遠方視力を矯正しても手元が見えにくくなる可能性があります。近年ではモノビジョンレーシックやプレスビーレーシックといった老眼に対応した術式も登場していますが、適応や効果には個人差があります。不可逆的な治療であるため、慎重な判断が求められます。

柿崎 寛子

監修医師:
柿崎 寛子(医師)

三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科

老眼とレーシック手術の可能性

レーシック手術は、角膜を削って屈折異常を矯正する手術です。近視や遠視、乱視の矯正に用いられてきましたが、老眼に対する効果についてはその仕組みと限界を理解する必要があります。

通常のレーシック手術と老眼の関係

レーシック手術は、角膜の形状を変えることで光の屈折を調整し、網膜上に正確に像を結ばせる治療法です。近視の方は角膜を平らにし、遠視の方は角膜を盛り上げることで、遠方視力を改善します。
しかし、老眼は水晶体の弾力性低下によって調節力が失われる現象であり、角膜の形状を変えても根本的な解決にはなりません。通常のレーシック手術で遠方視力を完全に矯正した場合、むしろ手元が見えにくくなる可能性があります。
若い頃に近視だった方は、裸眼では遠くが見えにくい代わりに、眼鏡を外せば手元が見やすいという状態でした。レーシックによって遠方視力を1.0以上に矯正すると、この近見時の利点が失われ、手元を見る際には老眼鏡が必要になります。
このため、レーシック手術を検討する際には、術後の生活で何を優先するか、遠方視力と近方視力のバランスをどう取るかを、眼科の専門の医師と十分に話し合うことが重要です。

老眼矯正を目的としたレーシック手術の種類

近年では、老眼にも対応できるレーシック手術の技術が開発されています。その一つがモノビジョンレーシックで、片方の目を遠方用、もう片方を近方用に調整する方法です。脳が両目の情報を統合することで、遠近両方をある程度見ることができます。
ただし、モノビジョンには適応に個人差があります。術前にコンタクトレンズで同様の状態を体験し、慣れることができるかを確認する試験装用が推奨されます。立体視や距離感に違和感を覚える方もおり、すべての方に適した方法ではありません。
また、プレスビーレーシックと呼ばれる、角膜を遠近両用の形状に削る手術もあります。角膜中央部を近方用に、周辺部を遠方用に調整することで、遠近の視力を同時に得ようとする試みです。しかし、見え方の質やコントラスト感度の低下が報告されており、長期的な効果や安全性についてはまだ十分なデータが蓄積されていません。
レーシック手術は不可逆的な治療であり、一度削った角膜を元に戻すことはできません。老眼に対するレーシック手術を検討する場合は、利点と限界を十分に理解し、信頼できる眼科の専門の医師のもとで慎重に判断することが求められます。

参考文献

日本眼科学会「老視」

公益社団法人 日本眼科医会「老眼について」

厚生労働省「多焦点眼内レンズを用いた白内障治療について」

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配信元: Medical DOC

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