「手白癬」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

「手白癬」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

手白癬の前兆や初期症状について

手白癬の初期症状は、手のひらや指の間に小さな水疱が出現し、その後、かゆみや発赤を伴うことが多いです。これらの症状は足白癬や股白癬と類似しており、軽微な症状から始まりますが、放置すると徐々に悪化します。症状が進行すると、水疱が破れて乾燥し、皮膚が硬化して剥離することがあります。さらに、手のひら全体に硬化が広がり、亀裂や痛みが生じ、場合によっては指の可動域に制限を与えることもあります。

慢性化すると、皮膚の肥厚や角化が進行し、表面が粗くなります。特に冬季には乾燥によるひび割れが生じ、手の機能に支障をきたすことがあります。また、かゆみや痛みにより、日常生活や仕事に影響が及ぶことも少なくありません。適切な診断と治療を受けるためには、皮膚科の受診が推奨されます。特に足白癬を併発している場合には、手と足の両方を同時に治療することが重要です。

手白癬の検査・診断

手白癬の診断は、患者さんの症状や身体所見に基づき、真菌感染が疑われた場合に行われます。最も一般的な検査は顕微鏡検査で、患部から採取した角質を10%〜20%のKOH(水酸化カリウム)溶液で処理し、顕微鏡で観察します。KOH処理により、角質内のケラチンが溶解し、真菌の構造が明瞭に観察できるようになるため、迅速に結果を得ることができ、第一選択として広く用いられています。

次に、真菌の種類を特定するために培養検査が行われることがあります。培養検査では、患部から採取した皮膚サンプルを特殊な培地で培養し、白癬菌の増殖を確認します。確定診断に有効ですが、結果が出るまでに数日から数週間を要するため、迅速な診断が必要な場合には適していないことがあります。

さらに、手白癬の診断にダーモスコピー検査が利用されることもあります。これは、皮膚の表面を拡大して観察する装置を使い、真菌による特有の病変パターンを確認する方法です。非侵襲的で簡便な検査方法であり、特に接触皮膚炎や乾癬など、手白癬と似た症状を持つ皮膚疾患との区別に役立ちます。ダーモスコピーによって、白癬による鱗屑や発赤、炎症を詳細に観察できるため、診断の精度が向上します。

鑑別診断としては、手白癬に似た掌蹠膿疱症やアトピー性皮膚炎が挙げられます。掌蹠膿疱症は手足に膿疱ができる自己免疫性疾患で、アトピー性皮膚炎はアレルギー反応による慢性的な炎症が主な原因です。これらの疾患は、KOH顕微鏡検査や培養検査で白癬菌が検出されないため、手白癬と区別できます。

配信元: Medical DOC

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