「手白癬」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

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手白癬の治療

手白癬の治療には、主に外用薬と内服薬の2つの方法があります。外用薬は、軽症から中等度の症例で最初に選択されることが多く、一般的には抗真菌クリームが使用されます。代表的な外用薬には、テルビナフィン、クロトリマゾール、ミコナゾールなどがあり、これらの薬剤は真菌の細胞膜を破壊し、真菌の増殖を抑制します。外用薬は、感染部位に直接作用するため、治療の効果が速やかに現れることが期待されます。ただし、外用薬のみでは真菌が皮膚の深部にまで到達するのを防ぐことが難しく、特に慢性化した症例では内服薬の併用が必要になることがあります。

内服薬としては、テルビナフィンやイトラコナゾールが最も広く使用されています。テルビナフィンは、真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害することにより、菌の増殖を防ぎます。イトラコナゾールは、広範囲の真菌に対して有効であり、真菌の細胞膜に作用してその構造を破壊することで抗真菌効果を発揮します。内服薬は通常、1日1回の服用で、数週間から数か月にわたって続ける必要があります。長期間にわたる治療が必要な場合、副作用として肝障害や消化器症状が現れることがあるため、治療中は定期的な血液検査を行い、肝機能や腎機能のモニタリングが推奨されます。

免疫力が低下している患者さんや糖尿病の患者さんなど、感染が長引きやすい人々に対しては、徹底した治療が必要となります。治療の期間や方法は症状の重さや患者さんの全身状態に応じて調整されますが、真菌感染は治療を中断すると再発しやすいので、医師の指示に従って最後まで治療を続けることが重要です。

手白癬になりやすい人・予防の方法

手白癬になりやすい人の特徴として、湿気の多い環境で生活している人や、手を頻繁に濡らす職業に従事している人が挙げられます。水仕事や手袋を長時間使用する仕事では、手が湿った状態が長く続くため、真菌が繁殖しやすい環境が作られます。特に、足白癬を患っている人や足に汗をかきやすい人は、手白癬に発展するリスクが高まります。

予防策としては、手や足を常に清潔かつ乾燥した状態に保つことが重要です。水仕事や汗をかきやすい環境にいる場合、作業後は手を十分に乾かし、通気性の良い手袋を使用することが推奨されます。また、家庭内での感染防止のため、タオルやスリッパの共用を避け、使用後には洗濯や消毒を徹底することが必要です。さらに、日常的に抗真菌作用のある石鹸やボディーソープを使用することで、真菌の繁殖を予防できます。足白癬や股白癬を併発している場合には、それらの部位の治療を同時に行うことも重要です。感染を予防し、早期治療を行うことで、手白癬の再発リスクを減らすことができます。


関連する病気

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皮膚カンジダ症

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多汗症

参考文献

日本皮膚科学会、皮膚科Q&A「白癬(水虫・たむしなど)

日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン改訂委員会, 日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019, 日本皮膚科学会雑誌, 2019, 129 巻, 13 号, p. 2639-2673

渡辺 晋一, 皮膚真菌症診断・治療ガイドライン, 日本内科学会雑誌, 2017, 106 巻, 4 号, p. 802-806

Bhat YJ, Keen A, Hassan I, Latif I, Bashir S. Can Dermoscopy Serve as a Diagnostic Tool in Dermatophytosis? A Pilot Study. Indian Dermatol Online J. 2019 Aug 28;10(5):530-535.

配信元: Medical DOC

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