
井桁弘恵が主演を務めるドラマ「そこから先は地獄」(毎週火曜夜0:24-0:54、日本テレビほか/Hulu・TVerにて配信)が現在放送中。本作は3組の夫婦による、地獄のような三角不倫。モラハラ、不妊、妻からのDVといった現代的な家庭問題を題材にした愛憎劇だ。
WEBザテレビジョンでは、菅原伸太郎プロデューサーにインタビューを実施。制作秘話やキャスト陣の魅力、今後の見どころなどについて話を聞いた。
■企画の立ち上げは「ネットの記事がきっかけ」
――本作はオリジナル脚本ですが、逆DV,不妊、モラハラなどをテーマにしようと思ったきっかけや、経緯は何だったのでしょうか?
きっかけは「妻からのDV被害が急増、相談件数が増加」というネット記事を読んだことでした。女性の社会進出に伴い、男女の家庭内での力関係が変化している中で、妻からのDVが「恥ずかしくて人に言えない」ことであるという事実に興味を持ちました。
単純に夫婦間の不仲だけでなく、社会との関係性を含んだ事象が、非常に現代的であると同時に旧時代的で、まずはそれを題材にしたドラマを制作しようと思いました。
――「既婚者専用のマッチングアプリ」というのは現実でも存在するのでしょうか…?
はい。夫婦間の問題をリサーチをする中で、既婚者マッチングアプリの存在を知りました。そこにある掲示板で夫婦間の悩みを抱えた人々の投稿を見て、まさに夫婦というのは悩みとトラブルのごった煮であり、起こりうる全ての問題を起こす「不倫のデパート」的な企画へと変化していきましたね。
■井桁弘恵のイメチェンから「オファーに至った」
――本作は三組の夫婦が物語を繰り広げていきますが、キャラクター設定などはどのように行いましたか?
脚本家の早船さんと共に、まずは主人公・莉沙(井桁弘恵)とDV被害者・涼(豊田裕大)のキャラクターから作っていきました。不倫のきっかけが、「DV被害者である彼を救いたい」であり、正義感を持ったお節介な主人公がそこに巻き込まれていく、という構図です。
あとは、残りのすべてのキャラクターに夫婦間のトラブルを分配して、結果的に“全員クズ”という“不倫版アウトレイジ”的な状況が生まれました。
――井桁さんは天真爛漫かつ博学なイメージですが、ご本人も取材時には「ここまで胸騒ぎがする作品は初めて」と仰っていたのが印象的でした。改めて、井桁さんの起用理由を聞かせてください
ハードな内容でキャスティングが難航する中で、Instagramでショートカットにした井桁さんを拝見し、今までとは違う大人のイメージを感じ、“不倫”のイメージがない主人公にぴったりだと思いオファーしました。
日頃から優等生で、真面目な印象を感じていたので、清純な女性が“地獄”に落ちていく様は、視聴者の怖いもの見たさにつながるのでは? という思いもありました。
――菅原Pから見て、座長である井桁さんは撮影現場ではどういった印象でしょうか?また、撮影現場のキャスト陣の様子はいかがですか?
最初の方は人見知りなのかな? と思いましたが、徐々にスタッフやキャストと交流を広げ、結果的に暗いシーンが続くドラマの中で明るさを持って演じ切ってくれました。キャスト陣も同様に、本番中以外は意識して和気あいあいとしていた気がします。
特に山崎紘菜さんが他の現場ではあまりないことですが、キャリア的にもほぼトップだったので、意識してキャストやスタッフとコミュニケーションを取っていたことが印象深いです。
■過激シーンは「思い切りやってもらった」
――美しい男・涼役には豊田さんが抜てきされましたが、こちらも起用理由を教えてください
「コスメティック・プレイラバー」(2024年、MBS)を拝見して、まずはその怪しげな魅力に、涼のキャラクターとの共通性を見つけました。その後、インタビュー記事などを読んで、お芝居に対する真摯な姿勢を感じ、オファーさせていただきました。
逆DVという事象よりも、涼という周りを翻弄する謎の男を演じるにあたって、どこまでが本当でどこまでが嘘かを理解しながらやることの難しさを感じていました。
――山﨑さんの奇妙な演技も鳥肌が立つほどの熱演です。DVのシーンではどのような話し合いを行って撮影しているのでしょうか?
こちらにできることは安全対策ぐらいで、基本的には思いっきりやってもらっています。山崎さんが台本を読み込んでしっかりプランを持って来てくれるので、まずはそこの確認をしてからリハーサル、撮影へと望んでいます。
■小久保"将也"が「実は一番まとも」
――菅原Pの推しキャラを教えてください
私は、なんだかんだ奏子を推しています。7話で凪子が死んだ後、主人公・莉沙の最大のライバルとして存在感を増していくので、大事なキャラクターです。同時に、小久保寿人さん演じる将也も10話での“不倫4者面談”でのお芝居は必見です。たぶん、このドラマ内で最もまともな人だと思います。
――菅原Pのお気に入りのシーンやセリフは、ありますか?
お気に入りシーンは、やはり10話の莉沙・高久夫婦と、将也・奏子夫婦の4者面談でしょうか。基本的に倫理観が破綻した登場人物に対して、将也が気持ちよく断罪をしてくれるので、珍しくスッキリするシーンです。
――このドラマで一番描きたかった、または伝えたいメッセージを教えてください
このドラマで描きたかったのは、人間の欲望です。単純に「誰かに思いっきり愛されたい」という願望が誰にでもあり、倫理や規範に捉われて配偶者や恋人に素直に自分の欲望を言えない。
そんな中で、身を焦がすような恋に落ちてしまった人間がどうなるのか、どう落ちていくのか、あるいはそれは堕落なのか、ということをテーマとして意識していました。他人事であるからそこを楽しんで見てもらいつつ、現代の「堕落論」的な立ち位置を意識しましたね。
■これまでの不倫ドラマとは違う「新しい結末」
――クライマックスに向けての見どころと視聴者へのメッセージをお願いいたします
視聴者の方も薄々勘づいているとは思うのですが、すべての地獄の原因は涼であり、莉沙も奏子も凪子も、彼に関わった人間が彼に翻弄され地獄のような状態に堕ちていきます。
莉沙は、果たしてその地獄から抜け出せるのか、単純に涼と別れられたとして、元の夫婦関係に戻れるのか? 戻れないとしたら、彼女の今後の人生は? など、そういったこと全てに答えを出しているつもりです。今までの不倫ドラマとは違う、全く新しい結末をお楽しみください。

