「日本に住めるのか」という葛藤
──映画が公開されることで、そのような見えない問題を可視化することにつながると感じました。伊藤:そうですね。個人的には昨年に本作品を公表してから、日本に住めるかということをずっと考えています。これまで、性被害について話す度に誹謗中傷や身の安全を侵される経験があったので、日本で公開できる喜びを感じると同時に、恐怖心もあります。ですが、だからやらないという選択肢は自分の中にはないです。日本で蓋をされてきたトピックについて映画で扱うことは大きな変化ですし、それ自体に意味があると思うので。
なので、先ほども言いましたが、これは私に起きた事件ではなく、自分や大切な人に起きるかもしれない身近なケースとして、映像を見ていただきたいです。一つの対話のきっかけになることを願っています。
<取材・文/山﨑穂花 撮影/鈴木大喜>【山﨑穂花】
レズビアン当事者の視点からライターとしてジェンダーやLGBTQ+に関する発信をする傍ら、レズビアンGOGOダンサーとして活動。自身の連載には、レズビアン関連書籍を紹介するnewTOKYOの「私とアナタのための、エンパワ本」、過去の連載にはタイムアウト東京「SEX:私の場合」、manmam「二丁目の性態図鑑」、IRIS「トランスジェンダーとして生きてきた軌跡」がある。また、レズビアンをはじめとしたセクマイ女性に向けた共感型SNS「PIAMY」の広報に携わり、レズビアンコミュニティーに向けた活動を行っている。
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