ネット上のあらゆる指標を席巻した今作の凄まじさと魅力を、あらためて振り返りたいと思います。

視聴率では2位だが、TVerでは圧倒的1位
まず、全話平均世帯視聴率は、12月5日執筆時点で6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。中高年層の視聴習慣を掴んでいる日曜劇場の『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)には及ばず、視聴率は今期2位。ただ、『じゃあつく』が本領を発揮するのはネット指標です。TVerのお気に入り登録数では、2位『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)の125万、3位『ザ・ロイヤルファミリー』の98万を大きく突き放し、174万でトップに君臨しています。
これは、社会現象を巻き起こした『silent』(フジテレビ系)、『VIVANT』(TBS系)などに次いで、歴代ドラマの中でも5位にランクインする高水準です。
また、Filmarksのスコアも4.2を記録し、『ザ・ロイヤルファミリー』の4.0、『良いこと悪いこと』と『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)の3.9などを抑え今期1位。さらに、Googleトレンドの過去90日間のウェブ検索数でも、平均検索数で『じゃあつく』が1位と、堂々のネット指標三冠目を獲得しています。お気に入り登録するほどではなくても、ドラマが気になって検索するふわっとしたライト層にまでリーチしていることの表れです。
勝男の強烈なインパクトがネットで有利に
こうしたネット指標の強さの要因は、なんと言っても主演・竹内涼真さん演じる時代に取り残された亭主関白男・海老原勝男が、キョーレツなインパクトを放っていたからでしょう。「料理は女が作るもの」といった性役割についてを筆頭に、恋愛観、仕事観などあらゆる物事に対する考え方が古臭く、独善的でした。
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それでも、竹内さんが突き抜けたさわやかさでコミカルに演じていること、勝男がちゃんと反省し自分をあらためようという姿勢を持っていたことで、ただの嫌味なモラハラ男から愛され化石男に昇華されました。
この勝男の憎み切れない面白おかしさは、多くの人に他人と共有したいと思わせる力があったのです。

