【漫画】双子の漫画家を襲う”特異な老化”と”創作の葛藤”に「クールで少し悲しくてそこはかとなくホットな話」と反響

【漫画】双子の漫画家を襲う”特異な老化”と”創作の葛藤”に「クールで少し悲しくてそこはかとなくホットな話」と反響

田村隆平さんの『COSMOS』が話題
田村隆平さんの『COSMOS』が話題 / ©田村隆平/小学館

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、サンデーGXにて連載中で、最新第7巻が9/19(金)に発売された人気漫画『COSMOS(コスモス)』(小学館)から宇宙人専門の保険調査員が、双子姉妹の特異な秘密に関わっていく『幼化現象』をピックアップ。

『べるぜバブ』(集英社)を代表作に持つ、作者の田村隆平さんが6月20日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ反響を呼び、1.3万以上の「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、田村隆平さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについてを語ってもらった。
■姉妹を襲う急速な幼児化という特異な現象
『COSMOS』(1/35)
『COSMOS』(1/35) / ©田村隆平/小学館


主人公は、高校生の水森。今回は上司であるヒロイン・穂村が保険調査員として初めて担当した顧客の話だ。その顧客とは双子の花園姉妹で、姉のアムリが原作、妹のイムリが作画を担当する伝説的漫画家「花園あい」(合作ペンネーム)として知られる存在だった。

彼女たちは大作漫画を描き続け、最終回を目前に姉アムリが急速に幼児化するという特異な老化現象に直面する。なぜなら二人は宇宙でも珍しい、成長の過程が逆転した種族…パドクラール星人だったのだ。

常に共に歩んできた双子だったが、姉だけが急速に幼児化した理由を姉妹自身が時にケンカを交えて語り合う。一方、周囲では原稿の停滞や未完の不安がささやかれ、作品と人生が重なり合う中で、才能と不可避の変化の狭間に揺れる彼女たち。水森と穂村は「介護保険」のオプションとして二人に寄り添うが…その行き着く先は、避けられない最後の幼児化だった――。

物語を読んだ人からは、「ハートフルです」「感動、面白、ミステリー、全部あって全部いい」「歴史に刻む漫画きたぜっ!」「最高だよ本当に最高かよー」「こういう視点ははじめてかも」「相変わらずクールで少し悲しくてそこはかとなくホットな話でありがとう」「ただただ面白い!」など、反響の声が寄せられている。


『COSMOS』(2/35)
『COSMOS』(2/35) / ©田村隆平/小学館

――「幼化」という独自の現象を物語に取り入れた背景を教えてください。

このアイデアは、たしか「介護保険」を考えるところから出てきた話だったと思います。

現実にある老老介護の社会問題から「逆パターンがないか」と発想することで、老化と反対の幼化が出てきました。そこで「そうした時に生まれる介護保険とは何だろう」と考え、SFとしての面白さが宿る要素を深掘りして物語にしました。

『COSMOS』では保険を扱っているので、そこを鍵にSF要素を拡げることがありますが、このエピソードもその一つですね。

――双子の姉妹を描くにあたり、性格の違いをどのように際立たせたのか、教えてください。

姉妹の片方は「おっとり」+「大人の部分」を持ち、もう片方は「活発」+「子どもの部分」を持つ土台で描いていました。今回のお話の役回りとして、そこが重要だったからです。

結果として、姉のアムリは自由で奔放、好奇心旺盛で活動的。何にでも興味を持ち、体験してみるタイプ。

妹のイムリは丁寧な言葉遣いで几帳面ですが、時に切れ味のある毒舌や厳しさを見せるタイプに……そうしてキャラクターが立ってきたように思います。

――漫画家としてのご経験が、作中の花園姉妹に重なっている部分はありますか?

漫画家としての経験は……たくさん入っていますね。

たとえばアムリがお菓子を食べ過ぎるのは、ネームが進まない時に自分もついやってしまいますし、その延長線で「殺せ」と水森に言う乱高下のシーンも、自分自身のアップダウンから生まれています。

漫画家の「あるある」ですが、この「幼化現象」が形になるまでにも時間がかかり……なんとか描き上げられてよかったです。

(※ネーム=漫画の設計図のようなもので、簡易な絵で下書き構成するもの)

――執筆中にご自身が最も感情移入されたキャラクターは誰なのか、教えてください。

このエピソードでいえば姉のアムリですね。もちろん妹のイムリも含め、両方に自分の分身の要素はありますが、やはりネームに苦悩する部分が大きいので。

逆にネームが上がったあとの作画は体力勝負で、特にアナログ作画をするイムリのシーンには、若い頃の経験が役立ちました。
たとえばGペンのペン先をライターで炙ってインク壺に入れると「ジュッ」と音がする

――たぶん読者の多くは実感できないでしょうが、そうしたシーンを描くことで「リアリティが伝われば」と思って盛り込みました。描きながら「懐かしいな」と感じたので、その意味ではイムリにも十分感情移入していましたね。

――これから本作を初めて読む方に向けて、「ここを見てほしい!」というポイントを一つ教えてください。

ヒューマンドラマ、コメディ、アクション、シリアス、ホラー……『COSMOS』はエピソードごとに毛色の違うチャレンジをしているので、1つというより、できるだけ多く読んでいただけると嬉しいです。

自分なりのSFを多様な読み味にしつつ、どれも「COSMOSらしい」話になっている……はず。読み進めるうちに作品全体の空気を感じ取っていただければ幸いです。

――最後に作品を楽しみにしている読者・ファンの方々へのメッセージをお願いします。
いつも応援ありがとうございます!
読者の「おもしろかった」という声に支えられています。これからも楽しみに待っていただけると本当に嬉しく、励みになります。

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