「ゴミ箱を置かないと5万円」全国初の条例
2025年12月7日、渋谷区議会で可決された条例改正案が、ネット上で大きな議論を呼んでいます。
その内容は、渋谷駅・原宿駅・恵比寿駅周辺のコンビニ、カフェ、自販機業者に対し、「ゴミ箱の設置を義務付ける」というもの。
2026年6月頃からの施行を予定しており、未設置の場合は勧告・命令を経て、最大5万円の過料(罰金)が科されます。さらに、設置していてもゴミが溢れたり不衛生な状態であれば、これも「不適正管理」として罰則の対象になります。
区側の言い分はこうです。
「街のポイ捨てごみの約75%が、テイクアウトの容器やペットボトル。販売して利益を得ている事業者が、そのゴミにも責任を持つべきだ」
確かに正論です。しかし、この条例に対し、SNS上では事業者や一般市民から「行政の責任転嫁だ」「あまりに理不尽すぎる」と猛反発が起きているのです。
「持ち込みゴミ地獄」から逃げるために撤去したのに…
なぜこれほど反発が強いのか。それは、ここに至るまでの30年間の経緯に理由があります。
1995年の地下鉄サリン事件以降、テロ対策として街中の公共ゴミ箱は次々と撤去されました。行き場を失ったゴミは、コンビニの店外ゴミ箱や自販機の回収ボックスに殺到。家庭ゴミや他店のテイクアウト容器まで持ち込まれ、あふれかえったゴミをカラスが荒らす地獄絵図が日常化しました。
その処理費用や清掃の手間に耐えかね、ここ数年、多くのコンビニや自販機業者は「ゴミ箱の撤去(または店内への移動)」を進めてきたのです。
つまり、「行政が公共ゴミ箱を消したツケを払わされ、限界が来て撤去した」のが現状といえます。それなのに、今になって行政側から「ゴミ箱がないからポイ捨てが増えた。お前らが責任を持って置け。置かないなら罰金だ」と言われているわけです。これでは「どっちやねん!」と怒るのも無理はないでしょう。

