
コーヒーの製造・販売業を行う土居珈琲は、焙煎直後のコーヒーを手作業でパッケージングしたドリップバッグ商品「Made By Hand(メイド バイ ハンド)」を11月18日(火)に発売した。
焙煎したての風味にこだわる会社
コーヒー業界では長らく焙煎の鮮度が大切と言われながらも、実際の現場では効率性が優先され、大量焙煎・長期在庫が当たり前となっていた。
その結果、店頭に並ぶのは焙煎から時間が経過したコーヒーが中心となり、消費者が「本当の焙煎の香り」を味わえる機会は限られている。
そうしたなか、土居珈琲は1971年の創業以来、生豆をストックして注文を受けた後に焙煎・出荷するオンラインモデルを構築。これまで焙煎したての風味を徹底的に守る体制を追求してきた。
コーヒーの鮮度と味わいを重視
近年、コーヒーの消費スタイルは大きく変化。日本茶が急須からティーバッグへと移行したように、コーヒーもペーパードリップよりドリップバッグが主流になりつつある。これは日本が開発した文化だ。
通常のドリップバッグは焙煎済みのコーヒーを外部の加工所に送り、大量ロットで製造される。そのため、リードタイムによる鮮度低下や大量加工に伴う長期在庫といった問題が避けられない。
こうした仕組みは、焙煎の鮮度を最優先する土居珈琲の理念とは相容れないものだった。
そこで土居珈琲は、焙煎直後のコーヒー豆を自社工房でスタッフの手作業によってドリップバッグに封入する手法を採用。外部加工に出さないことで焙煎の香りが逃げる前にパッキングできるようになり、従来のドリップバッグにはなかった「焙煎したての体験」をそのまま閉じ込められる。
一方で、製造の工程では手間も時間もかかる分、大量生産はできないという。それでも効率より鮮度と味わいを優先した結果、新商品の「Made By Hand」にたどり着いた。
