冬が近づくにつれ、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、マイコプラズマ肺炎といった感染症の流行が目立ち始めます。近年は複数の感染症が同時に流行するトリプル流行の傾向もあり、症状が似ているため見分けがつきにくいことも少なくありません。特に子どもや高齢者、基礎疾患を抱える方は重症化リスクが高いため注意が必要です。今回は、感染症が流行する季節に気を付けるべきポイントや、家庭でできる予防・初期対応について、おばら腎内科クリニックの小原先生に詳しく解説していただきました。
≫【1分動画でわかる】インフルエンザ・コロナ・マイコプラズマ肺炎 重症化しやすい人の特徴
監修医師:
小原 功裕(おばら内科腎クリニック)
1991年に日本医科大学医学部を卒業後、腎臓内科・血液透析医療を専門として臨床に従事。2016年に「おばら内科腎クリニック」を開院。2020年には移転・増床により診療体制を拡充。現在は院長として腎臓内科・人工透析を中心に幅広い診療をおこなっている。日本透析医学会専門医・指導医、日本アフェレシス学会専門医。
感染症の流行動向と特徴を知る
編集部
インフルエンザやマイコプラズマ肺炎、新型コロナウイルス感染症など、最近の感染症の流行にはどんな傾向があるのでしょうか?
小原先生
近年は季節による区切りが曖昧になり、インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症・マイコプラズマ肺炎が同時に流行する傾向があります。特に子どもの間ではマイコプラズマ肺炎の報告が増え、高齢者ではインフルエンザや新型コロナウイルス感染症で症状が重くなることが問題となっています。これらの感染症は咳やくしゃみ、手で触れることで広がるため、学校や職場、家庭での対策が欠かせません。
編集部
各感染症の主な症状や、感染経路の違いを教えてください。
小原先生
インフルエンザは高熱や関節痛、強いだるさが急に出るのが特徴です。新型コロナウイルス感染症は発熱や咳、のどの痛みに加え、においや味がわからなくなることもあります。マイコプラズマ肺炎は乾いた咳が長く続き、微熱でも肺炎に進むことがあります。どれも咳やくしゃみの飛沫、ドアノブを触った手などを介して感染するので、換気が悪く人が密集した場所では特に注意が必要です。
編集部
単なる風邪と見分けるポイントはありますか?
小原先生
普通の風邪は2〜3日で良くなりますが、インフルエンザやマイコプラズマ肺炎では熱や咳が長引き、全身のだるさが強く出ます。特に「高熱が2日以上続く」「息苦しい」「食事が取れない」というときは、早めに医療機関を受診しましょう。市販薬で様子を見るより、何の感染症かを確認して適切な治療を受けることが、症状を悪化させないカギとなります。
「重症化リスクが高い人」はどんな人?
編集部
子どもや高齢者、持病がある方が重症化しやすい理由を教えてください。
小原先生
子どもは免疫の仕組みが未熟で、ウイルスへの抵抗力が弱い傾向にあります。高齢者は免疫力が低下しているため、感染をきっかけに肺炎などを起こしやすくなります。また、糖尿病や心臓病、呼吸器の病気をお持ちの方は、感染による炎症で持病が悪化することがあります。体力や免疫力が落ちていると、軽い感染でも入院が必要になることがあるのです。
編集部
特に注意が必要な持病や体質にはどのようなものがありますか?
小原先生
糖尿病や慢性腎臓病、心不全、喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などをお持ちの方は特に注意が必要です。これらの病気があると、感染により血糖値のコントロールが難しくなったり、心臓や肺の働きが悪化したりする可能性があります。また、免疫を抑える薬やステロイドを使っている方も症状が重くなりやすいため、ワクチン接種や早めの受診が特に大切です。
編集部
もし感染してしまった場合、重症化を防ぐためにできることがあれば教えてください。
小原先生
まずはしっかり休み、脱水を防ぐために水分を摂りましょう。自己判断で市販薬を飲み続けるより、医療機関で何の感染症かを確認し、必要に応じて処方薬を使うことが大切です。持病のある方は早めにかかりつけ医に相談し、いつもの薬の飲み方や食事を一時的に調整することも、症状の悪化を防ぐことにつながります。無理をせず、体調の変化に注意しましょう。

