定位放射線治療で治せる病気
定位放射線治療の適用となっている病気には、以下のようなものがあります。
頭頸部の腫瘍
頭頸部に発生する悪性腫瘍の一部は、手術が難しい位置にある場合があります。定位放射線治療は正常組織に近い腫瘍でも精密に治療できます。耳鼻咽喉科、頭頸部外科、放射線治療科が担当する場合が多いです。腫瘍が比較的限局している再発例や手術困難例、臓器温存を優先したいケースなどが適応となります。
脳動静脈奇形
動静脈奇形に対しての放射線治療の目的は、異常な血管の塊であるナイダスの増殖を抑えることで、頭痛などの症状を和らげることです。脳動静脈奇形の治療の基本は手術ですが、患者さんの年齢や病変の体積、部位などを考慮し、放射線治療が選択されることがあります。
脳神経内科や放射線科が担当します。
薬物療法で疼痛管理が困難な三叉神経痛
三叉神経痛は、顔の片側に激しい痛みをきたす疾患です。三叉神経痛の原因にはさまざまなものがあります。三叉神経への血管圧迫、髄膜腫などの腫瘍による神経の圧迫や刺激、三叉神経の損傷、多発性硬化症などがあります。しかし、原因が不明な事例もあります。
定位手術的照射(SRS)は、血管圧迫による特発性三叉神経痛に対して適応となります。ガンマナイフやサイバーナイフでのSRSが行われています。
脳神経外科、ペインクリニック、放射線治療科が治療を担当します。
原発性及び転移性の肺がん、肝がん
初期の肺がんや肝がんは手術以外の選択肢が少ないですが、SBRTで根治を狙えるケースがあります。
呼吸器外科、消化器内科、肝臓内科、放射線治療科が担当します。
3cm前後の限局した腫瘍、手術困難例などが適応となります。
転移病巣のない限局性の前立腺癌又は膵癌
前立腺がんではSBRTが標準治療として広がりつつあり、短期間で治療が完結します。
膵がんでも外科手術が難しい場合に定位照射が利用されます。
脊髄動静脈奇形
脊髄の動静脈奇形(AVM)は手術が非常に難しく、定位放射線治療が有効な場合があります。
定位放射線治療を行う目的
定位放射線治療の目的には、以下のようなものがあります。
がんの局所制御の向上
定位放射線治療では、5〜10の多方向から3次元的に、放射線を小さな照射領域に照射します。つまり、腫瘍の局所を集中的に狙い、がんの局所制御を目指すという目標があります。
がんのまわりの臓器の有害事象の低減
定位放射線治療では、ターゲットとする病変に対して、通常の放射線治療よりも精密に照射できます。そのため、病変周囲にある正常な臓器への有害事象を減らすことが可能と考えられます。例えば、食道・腸管・脳などの臓器を守りながら治療できます。
神経痛を和らげる
三叉神経痛のような薬剤抵抗性の神経痛に対し、神経の一部にピンポイントで照射することで痛みが軽減します。
手術による合併症を避ける
高齢者や心肺機能が低下している患者では、手術のリスクが高まります。定位放射線治療は身体的負担が軽く、外科手術の代替となることがあります。
入院期間を短くする
多くの治療は外来で完結し、入院の必要がありません。仕事や日常生活への影響を最小限にできます。

