【第1話】20歳、“まぶしすぎる初恋”――そして再会
PCのモニターが放つ青白い光の前で、男は迷っていた。
画面には『“ジャリム”の婿、女優アン・ダヘと不倫』という見出し。
送信ボタンを押すべきか、否か。
それは男にとってただのスクープではない。かつて愛した「元恋人」の夫のスキャンダルだったからだ。

場面は変わり、徹夜明けの気怠い朝。
トンウン日報の記者イ・キョンドが食事をとりに店に入ると、部下から非情なメールが届く。
『記事、アップしました』 キョンドが深く重い溜息をついた直後、店内のテレビが騒がしく速報を報じ始めた。
『大企業ソチャングループ次男チョ・ジノン、女優アン・ダヘと不倫疑惑』
『麻薬使用疑惑の現場にチョ・ジノン氏が同席』
『妻は有名企業ジャリムアパレルのソ・ジウ氏』
『不倫と薬物疑惑で離婚危機、両グループの経営にも打撃か』
画面には、不倫、麻薬、そして有名企業同士の政略結婚の破綻……センセーショナルな文字が躍る。
「あんなおかしな奴と結婚しやがって……。大体、この記事は芸能部じゃなく社会部のネタだって上司に言ったんだよ……」
断酒中だった誓いを破り、キョンドは酒を煽りながらクダを巻いていた。
「相手が有名女優だから仕方ない」
「お前だって言い訳したいだけだろ?」
そんな彼にツッコミを入れるのは、大学時代のサークルの先輩3人。
彼らは知っているのだ。かつてキョンドが、渦中の妻ソ・ジウと深く愛し合っていたことを。
夜が更け、静寂に包まれたオフィス。 残業中のキョンドは、検索窓へ『ソ・ジウ』と打ち込んだ。
画面に溢れ出すのは、有名企業「ジャリムアパレル」の次女としての華やかな姿。
海外ファッションショーでのスナップ、新作発表会、SNSで拡散される優雅なポストの数々。
そこに映る彼女は、完璧で、遠い世界の住人そのものだった。
でも、キョンドの脳裏に蘇るのは、セレブのソ・ジウではない。
まだ何者でもなかった彼女と出会った、あの頃の記憶だった――。
2007年、20歳の春。
大学生のイ・キョンドは、地味だけれど優しく、少し不器用な青年だった。
そんな彼の前に、突然現れたのがソ・ジウだった。
華やかな美貌と明るい笑顔、しかしその内側には誰にも言えない孤独を隠し持っていた。
二人の出会いはキャンパスのサークル祭り。
落とした500ウォンを必死に探すキョンドを、海外留学で知り合った友人を訪ねてきたジウが見かける。
「バナナ牛乳が買えない…」と肩を落として去るキョンド。
その後、ジウはその500ウォンを拾い上げ、ちゃっかりバナナ牛乳を買って喉を潤していた。
「ちょっと」
声をかけられたジウは劇団「支離滅裂」サークル勧誘中のセヨンに声を掛けられる。
トイレに行きたいとせがまれ、ジウは突然、サークル勧誘の店番を5分だけすることに。
そこに現れたのはさっき500ウォンを探していたキョンドだった。
「まさか新入生?」「老け顔だけどブサイクじゃない。名前を書いて」と半ば強引に申込書を差し出すジウ。突然のタメ口。てっきり先輩だと思っていたキョンドだったが、セヨンが戻り、ジウも同級生だということがわかり、驚くキョンド。
颯爽と去るジウを追いかけ、「老け顔と入れたことについて謝って」とキョンドは言うが、「正直な感想」とジウは大笑い。「暇だし飲みに行こう。まさか飲めない?」と面白がりながらあおり、ジウとキョンドは初対面で酒場に行くことに。
昼間から始まった飲み比べ。もうバスもない深夜になっていた。
「一緒に寝る?」とジョークを飛ばして「またね」と明るく去っていくジウ。
キョンドは深夜の街で先輩たちに拾われ、再び飲み明かし、部室で雑魚寝する羽目になった。
翌朝、ジウは再びキョンドの大学にやってきた。
美人で華やかなジウは注目の的。
キョンドは見つからないよう隠れるが、ジウにカバンを奪われ、教室を飛び出し追いかけていく。おおお~~っと盛り上がる教室。
食堂でジウは部室で18時に会おうと言い残して去っていった。
キョンドは授業に戻るが、約束の時間が気になってそわそわ。
18時、約束の時間だ。
外からキョンドの後ろ姿を確認し、笑顔でジウは部室へ向かおうとするが、そこへ一本の電話が。
ジウに厳しい母からの電話だった。
「ニューヨークにいればいいものを」「時間を無駄にしている」「行動に責任を持て」。冷酷な母の言葉は、ジウの笑顔を一瞬で奪い去った。

約束の時間をだいぶ過ぎ、キョンドは部室を後にする。
キョンドが桜の咲き誇る帰り道を歩いていると、落ち込んだ様子でベンチに座るジウを見かける。
キョンドのぶっきらぼうながらも優しい相槌に癒されていく様子のジウ。
ジウに引っ張られ、バス停に向かって走る二人。
バスでキョンドはジウにイヤホンの片方を差し出す。流れるのはソン・シギョンの「二人」。
同じ曲を聴きながらバスに乗るキョンドとジウ。そして連絡先を交換しあった。
まさに青春の始まりだった…。
学生時代、ジウと二人で訪れた「秋史(チュサ)の書信」刊行記念ブックコンサート。
コンサートだと言われて連れてこられたジウは思っていたものと違っていた様子。
当初は退屈そうにしていたジウだったが、帰りの駅で電車を待ちながら、キョンドが好む詩について尋ねてきた。 「最愛の妻に先立たれた、その悲しみの中で書かれた詩」 そう解説し、せがまれるままに詩を口ずさむキョンド。ふと横顔を覗くと、ジウの瞳からは涙が溢れ出していた。
驚くキョンド。泣きながら「本当に恋しかったのね」と泣きながら微笑むジウ。
「意外とまともな感性を持っているんだ、君って…」軽口を言い合って笑いあったあの日。
互いの魂が触れ合った、忘れられない夜だった。
そして現在。
深夜残業後、ひとり会社を出たキョンド。
外に出るとそこには元恋人・ジウが立っていた…。
10年ぶりの再会だった。
夜のカフェで向かい合う二人。
体調を聞くと、「今も精神科の薬を服用している」とジウ。
ジウは本『ゴドーを待ちながら』を引き合いに出しながら、
「ゴドーは来なくてもキョンドは来るんだよね? 本当は待っていたこともあった」と話すジウに、「たかが演劇、もう忘れて」と冷静に返すキョンド。
『ゴドーを待ちながら』は互いの思い出の本だった。
つきあい始めた二人が大学で『ゴドーを待ちながら』をきっかけにキョンドの好きな本について話していると、サークルの先輩たちがやってきて飲みに行くことに。
しかし、和やかな時間を切り裂くようにジウの携帯が鳴り響く。
電話の主は母親だった。
家に戻ったジウに母は冷たく接する。
学歴のために強要された留学、興味のない西洋美術史の専攻。
韓国の大学に通いたいというジウの悲痛な訴えを、プライドの高いジウの母は冷酷に切り捨てる。
一切ジウの気持ちを尊重せず、家柄に見合った行動をしろと価値観を一方的に押し付ける母親。
絶望のあまり衝動的に薬を口に放り込むジウだったが、すぐに吐き出し、窒息しそうな豪邸から逃げるように飛び出した。
携帯も持たず飛び出したジウが大学の公衆電話から助けを求めたのはキョンドだった。
泣き崩れるジウをキョンドは心配しながらも彼女を優しく受け入れる。
温もりに安堵し、「あなたが好き」と胸に顔をうずめるジウ。
「実は…」彼が演劇サークルに入った理由を聞いて、笑顔を取り戻すジウ。
キョンドとジウはキスを交わし、強く抱きしめ合った…。
現在。
深夜のカフェで、二人は静かに向き合っていた。
ジウが口にしたのは、自身の結婚生活があくまで「企業の合併」に過ぎず、自分は最初から弱い立場に置かれていたという冷徹な事実だった。
彼女はまるで他人の身の上話でもするかのように、愛のない生活の実態を明かしていく。うつ病やパニック障害、子どもを授からなかったこと、そのすべてを自分の責任だと責められ続け、酒に酔った夫から暴言を浴びる日々を送っていたのだと。
自身の尊厳を傷つけられ続けた日々の果てに、彼女は皮肉にもキョンドが書いた記事に感謝を示した。泥沼化していた離婚訴訟が、あのスキャンダルをきっかけに決着したからだという。
不幸を当然の報いのように受け入れ、淡々と語るジウの姿に、キョンドは言葉を失った。
しかもお礼にと、自分のスキャンダルをネタとして提供すると話すジウ。
キョンドはきっぱりと拒絶した。
「次に会うとしたら、君か僕の葬式だ」
その瞳には、深い悲しみが宿っていた。
席を立つキョンドの背中を見送ることもできず、残されたジウは一人、頭を抱え込んだ。
【第1話ココが見どころ!】
●正反対な二人の“無邪気な恋”に胸キュン! “地味でまっすぐ”な青年と、“自由で破天荒”なヒロイン。
正反対だからこそ惹かれ合う、学生時代の無邪気な恋の始まりは必見です! インタビューでは「20歳を演じることに少し不安があった」と語っていたパク・ソジュンですが、その心配は無用。不器用な若者にしか見えない演技力と、輝くような美貌には驚かされるばかり!
●冒頭の500ウォンとバナナ牛乳のエピソードは、ジウの「ちゃっかりした性格」と、キョンドの「不器用」を象徴する可愛らしいシーン!
●“キス職人”パク・ソジュンの手腕が光る! さすがはキス職人、パク・ソジュン! 初恋ならではの「ぎこちなさ」を表現しつつも、観る者を惹きつける魅力的なキスシーンに仕上がっています。 まだ青い二人のキスが、物語が進み大人になるにつれてどう変化していくのか……今後の展開からも目が離せません!
●桜並木のシーンが美しい! 監督がこだわりにこだわったシーンだとお台場のイベントでパク・ソジュンが話していた通り。不器用ながらも優しさあふれるキョンドの人柄がよく出ているシーン!
【第2話】再び動き始めた二人の関係
【ネタバレを含みます。ご注意ください】↓
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夫の不倫が原因でソ・ジウが離婚してから一ヶ月。このスキャンダルは落ち着くどころか再び盛り上がりを見せていた。
ジウがキョンドと夜のカフェで会った時に写真を撮られていたのだ。
ジウの離婚の原因は夫の不倫だけではないのではないかという記事が、トンウン日報のライバルであるチョギョン日報から報じられたのだ。
写真にモザイクがかかってはいるが、キョンドであることはバレバレ。
ソ・ジウの離婚のスクープを逃したどころか他社のネタになってしまったキョンド。この件で部長のハンギョンはクビ寸前、キョンドもシカゴ研修の話まで出ていた。
ジウもまた、現状に嫌気がさし韓国を離れイギリスに行こうとしていた。
教会の役員であるのに俗っぽいキョンドの母親もこの記事に対して興味津々。息子のキョンドから恋愛関係ではないと説明されると、逆玉の輿を逃したと残念そうだ。会社でも噂され、母親からもツッコまれる事態にキョンドは辟易していた。
大学時代の先輩であるセヨンはキョンドに頼まれ、「ふたりはただの友人である」ということをアピールするために食事会を開き、その様子をSNSにあげる計画をジウに提案する。しかしジウは、自分に直接言わないキョンドに腹を立て、キョンドの家に押しかけていく。
2007年 春。
思わず家を飛び出したジウを迎えに行ったキョンド。そのままふたりはセヨンの家に。
セヨンの家には、演劇サークル「支離滅裂」のメンバーのジョンミンやウシクも泊まり込んでいた。寝ていると思った先輩から「早く寝ろよ」とふたりに声がかかる。
ジウとキョンドは先輩たちの隙間に入り、向かい合いながら眠りについた。

両親が4週間海外旅行に行くという情報を手に入れたジウ。
彼女は演劇サークルの面々が『ゴドーを待ちながら』を上演するための稽古に集中できるようにマネージャー役を買って出る。その代わりに、この前のように宿を提供してほしいとお願いする。一緒にキョンドも先輩の家に泊まり込むことになり、ふたりは一緒にいる時間が増えどんどん親密になっていくのだった。
現在。
キョンドの家に上がり込んだジウ。キョンドはひざを抱えて現実逃避の表情だ。
ジウは彼が着ていた服が大学時代のものであることに気付く。ジウとおそろいで着ていたものだったからだ。
「私が忘れられないからその服を捨てられないんでしょ」
恥ずかしさもあり意地を張り続けるキョンドに、「ここまで騒ぎが大きくなったのは、自分が言う通りに離婚記事を出さなかったからでしょ」と呆れた表情だ。イギリスに行く前にこの騒ぎのケリをつけろと言い放つキョンド。人にものを頼む態度ではない。
ジウはそもそも、セヨンに伝言を頼み自分で言いに来ない態度がまず気に入らないのだ。部屋を出ていこうとするジウ。キョンドは彼女を引き留め「次に会うときは葬式だ」と言ったことをやっと謝った。
そして、今回の騒ぎに対抗するための計画を説明しはじめる。自分とジウは恋愛関係ではなく、大学時代から続く仲間であるということを前面に押し出した記事を作成するのだ。
しかしその計画には、部長のハンギョンの思惑まで混ざっていた。ジウがその時に着ていたコーディネートの特集も合わせて打つというのだ。
ジウは思いのほか軽く提案を受け入れ、久々に「支離滅裂」メンバーとジウが集まることに。

作戦決行の日。
「支離滅裂」メンバーとジウは再会を果たす。集合写真を先輩のウシクがSNSにあげ、それを記事にするのだ。ジウは先輩たちと会えて喜んでいる。写真を撮る前提のため先輩のジョンミンやウシクは妙にキメてきている。



集まれば大学時代の頃のように会話が止まらない。セヨンが『ゴドーを待ちながら』の公演時の写真を取り出すと、先輩たちはその日の思い出を口々に話し出した。その日、キョンドは本番中、ジウを待ちながら舞台上で泣いてしまったのだ。セリフまで変えてしまい、セヨンは舞台の払い戻しに追われた苦い思い出だ。気まずくなるキョンドだったが、計画通りに集合写真を撮ることができた。
帰り道、カフェでの時と比べるとだいぶ穏やかに話せるようになったキョンドとジウ。キョンドは計画に付き合ってくれたジウに感謝する。そして来週イギリスに行くジウの背中を押すように、「しっかり食べろよ」、「いい人と付き合えよ」と言葉を贈る。
ジウは自分のスキャンダルにキョンドを巻き込んでしまったことを謝る。そして「私のせいで人生台なしね」と自嘲する。キョンドは「ジウのせいではないし、台なしでもない」と静かに訂正し、車に乗り込む彼女を見送った…。
この日、キョンドが実家の自分の部屋から持って行った『ゴドーを待ちながら』のパンフレットをジウが密かに持って帰っていた。そして自分を思ってキョンドが泣いていたという先輩の言葉を思いながら、キョンドから教わった『悼亡詩』の一節を呟くのだった…。
ジウの姉のジウンは、記事を見て「やるわね」と純粋に感嘆した。チョギョン日報から報じられたことを訂正するだけでなく、ジウのイメージアップにもなっていた。
ジウンはキョンドに連絡をとろうと動きはじめる。

姉とジウンはとても仲のいい姉妹。妹想いの姉は、何かと辛くあたる母親からもジウを守ろうとしていた。

部長のハンギョンとキョンドは記事の成功を焼き肉店で祝っていた。
そしてこの日もハンギョンは10年間キョンドに続けている独特な求愛をする。「家と車を買ってあげるから付き合おう」「限定品を買ってあげるから付き合おう」などと物で釣るような発言をする。キョンドも本気にせずあしらっていると、ジウンから電話がかかってくる。

呼び出されジウンと落ち合ったキョンドは、ジウンからあの騒ぎになった記事の写真を撮らせたのは自分だと打ち明けられる。混乱するキョンドは、さらに衝撃の事実を告げられる。
【第2話ココが見どころ!】
●10年ぶりに再会したキョンドとジウの関係が動き出した2話。お互いひとりになってから気持ちを押さえるような様子が印象的です!
●「支離滅裂」メンバーで再会集合写真を撮るシーンでのキョンドの視線はジウにくぎ付け。素直になり切れないキョンドですが気持ちは動いているのがわかりますね!
●大学時代、芝生にふたりで寝転ぶシーン。距離を一気に詰めてくるジウと、慎重なキョンドの対照的な様子が描かれました!青春のさわやかさと甘酸っぱさを感じるシーンです!

