
俳優やタレントなどのいわゆる「芸能人」と呼ばれる人たちの中には、介護を活動の大きなテーマにしている人が少なくありません。
例えば、新田恵利さんやにしおかすみこさん、綾戸知恵さん、大沢逸美さんなどは、親など自身の家族を介護した経験を講演や書籍、SNSなどを通じて広く発信しています。
また、北原佐和子さんや鈴木早智子さんのように、実際に介護現場で勤務をした経験を持つ芸能人も少なくありません(既に芸能界を引退している人もいますが)。
こうした活動に対しては
「ちょっと介護を経験したぐらいで、介護者の代表みたいな顔をしているのはおかしい」
「自分の売名行為に介護を利用しているのは不愉快だ」
と批判的な見方をする人もいます。
確かにそういった側面が全く無いとは言い切れません。
しかし、仮にそうであったとしても、高い知名度があり、世間に対する発信力・影響力の大きい芸能人が介護について発言することは
「多くの人たちに介護問題について『自分ごと』として認識してもらう」
「実際に自分や家族が要介護になったときに必要となる知識や情報を与える」
「介護の仕事に対する理解・関心を深める」
などといった点で大きな効果が見込めるのではないでしょうか。
こうした発信は、現役の介護職や元介護職が芸能人やインフルエンサーになって行うという方法も考えられます。
しかし、特に現役介護職の場合は「職場がそうした活動に理解を示してくれない」といった理由でハードルが高いのも事実です。
そして、一介の介護職が芸能人やインフルエンサーとして成功する可能性は正直言って非常に低いと言わざるを得ません。
そうした点を考えると、「介護を語ることができる芸能人」という存在は、介護業界にとってもありがたい存在と言えるでしょう。

また、介護の仕事は、芸能活動をしている人たちのサブキャリア・セカンドキャリアとして非常に適しているという側面があります。
介護現場ではパートタイマーなどの非正規雇用者が多く活躍しています。
時間が不規則な芸能界で働く人たちにとって、勤務時間の自由度が高いのは仕事の両立の面で非常にありがたいことです。
次に、介護職はレクリエーションの司会進行など人前で話したり、歌ったりする機会があります。
これらも芸能活動の経験があればお手のもので全く苦にしません。
そして芸能界の裏話などはレクリエーションで大盛り上がりすること間違いないでしょう(もちろん「守秘義務や当事者のプライバシーに抵触しない範囲で」ですが)。

そして、芸能人は「演じる」のが仕事です。
介護サービス利用者の中には、認知症で目の前にいるスタッフを、自分の子どもや配偶者、幼馴染みやかつての仕事仲間などと思い込んでいるケースもあります。
こうした際に、さっとキャラクターを切り替えて演じることができるのは大きな強みです。
実際に、芸能活動の経験のある現役介護職の女性は「利用者のアセスメントシートを初めて見るときの感覚は、ドラマの脚本を渡されたときに似ています。『この利用者の前で、自分はどのように演じればいいのだろうか』が、ぱっと頭に浮かびます」と語ります。
介護の三ツ星コンシェルジュ



