ママ友と夫の不倫を知ってから1年以上経ち、朱里は離婚を決断しました。2人の子どもを引き取り、実家へと帰ります。対する元夫の勇と不倫相手の穂乃花は、地元に残りました。
実家に戻り、三世代での生活へ
実家に戻った私は両親の手を借りながら、ナナミとトオルの育児と仕事を両立できるよう頑張った。3世代での同居はうまく回り始め、ナナミも小学校、トオルは保育園へ通う。離婚のため早めに仕事に戻った私に、職場の人たちも理解を示してくれた。
ただ、子どもたちから父親を奪った申し訳なさはあった。けれど、養育費を渡したきり面会も望まない彼に対し、子どもたちは「会いたい」という気持ちが湧かないらしい。
「公園がたくさんあるし、こっちに来てよかった!」
ナナミの言葉を聞いてホッとする。以前のような都会ではないが、郊外のほどほどに栄えた場所にある実家は子どもたちに好評のようだ。いつしか穏やかに時は過ぎる。その中で私は着々と、ある準備を進めていた。
慰謝料請求へと踏み出した
「では、以上のように相手側に請求書を送ります」
「よろしくお願いいたします」
頼りになる弁護士の男性へ頭を下げ、私は事務所を後にした。
あれから私は、勇と穂乃花に対して慰謝料請求をすることにした。不倫発覚から3年以内であれば請求できる…そう知った時、実行しようと決めたのだ。離婚までの間、ひたすら証拠をかき集める。勇はパソコンをいつもスリープモードにしているから、チャットツールを覗き見ることは可能だった。
以前は実行できなかった彼らのデート尾行も行い、卑猥なホテルに入る瞬間の写真をいくつも収めた。「これだけの証拠があれば必ず勝てるでしょう」と、弁護士からも太鼓判をいただくほどだ。
他のママ友から連絡がきて、勇と穂乃花が破局した事実を聞いた。不倫が会社にもバレた勇は会社から要注意人物と見なされたのか、左遷される。辺境の地へ飛んだらしい。それに穂乃花はついて行かず、新たな別の男性を誘惑した。しかしよりによってその相手も既婚者で、また慰謝料請求されているらしい。信じられない女性だ。
「朱里さんの件もあったでしょう。だから味方も誰もいなくて。彼女、慰謝料返済にあえいでいるらしいよ」
彼らの悲惨なその後を聞いても、もう心は乱れない。

