毎回、誰かが去っていく……ラストはどうなる?
それにしても毎回、誰かが劇場から去っていく。物語からひとり、またひとりと……。切ない話なのだ。みんなが戻ってきて、全員がそろった幻の公演を行うような夢のエンディングにならないだろうか。蜷川幸雄の演劇には、集団の崩壊とありえたかもしれない幻の麗しき集団を夢見る話が少なくないのである。クベが見たと第1話で語った『雨の夏、三十人のジュリエットが帰ってきた』(82年)や、ドラマではいまのところ言及されていない、84年に西武劇場(現PARCO劇場)で蜷川が演出した『タンゴ・冬の終わりに』などがそれだ(いずれも脚本は清水邦夫)。
蜷川幸雄は、1960~70年代、熱い時代を劇団で過ごした石橋蓮司と蟹江敬三と晩年再び共に芝居をする機会はなかった。一方、三谷幸喜は、劇団サンシャインボーイズが人気絶頂のとき、30年の充電期間に入ると宣言し、30年後の2025年、ほんとうに再結集公演を行った。
<文/木俣冬>
【木俣冬】
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami

